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第6話
それから黒石は、無言のままだった。俺は、残りの仕事をしに社に戻り、黒石は私用があるとかで解散した。
その後、携帯が鳴り「遅くなるから夕食は各自で」と黒石からメッセージが届き「了解」と返信をした。
黒石と同居して数日。こんなの初めてだった。なんだかんだ言いながら黒石は、俺の世話をしてくれてた。それをいい事に、俺は少し甘え過ぎやなかろうか。
……本当やったら、俺が世話しなきゃいけないのにな。
ごめんな、黒石・・・
って思った俺が馬鹿だった。翌朝、自室のドアを開けた俺は、強烈なキスシーンを見てしまったのだ。
しかも男同士の! 黒石がゲイなのは分かっている。けど、恋愛に疎い俺が…男同士とか分かる筈もない。刺激が強過ぎてついていけない。
「おっおまえな……」
「ああ、起きてたの?」
「ああじゃね…誰の家や思てんねん!」
「誰があんたの世話してると思ってんの?」
「……っ!」
「へぇ…真琴が人の世話してんの? 意外~~」
黒石の隣にいた綺麗めの男が俺をジロジロ見てきた。
なんや…こいつ!
「終電ないって言うから泊めただけだ
。祐介…おまえもう帰れ」
「うわっ相変わらずひでぇ~~」
「とにかく、そうゆー事は他でせーって」
「……誰のせいだと?…ちょっとは警戒しろよ…好物が無防備に俺だって」
「なんの話やねん…おまえの好物とか聞いてない!」
「あんた本当バカでしょう!」
「バカゆーなゆーてるやろ!」
「あの…俺帰るね」
「はぁ?! 祐介まだいたの?」
「…はっは~い帰りまーす」
へぇ…真琴がね…あんな感情出してんの初めて見た……
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