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第8話
大型連休に向け社では、前半連休グループと後半連休グループに別れ、急な要件に対応出来るようスタッフが滞在していて、俺は前半連休グループで黒石は後半連休グループだった。
俺は、連休前に大阪支社に主張になり、そのまま実家へ帰る事にした。その間、家を空けるから自由に使えと黒石に言ってきたが……
黒石のやつ、なんか元気がないとゆーかいつもと違うかったんだよな。
出張と連休を経て、二週間振りに自宅のドアを開けた。黒石はまだ帰宅していない。
黒石…俺のいない間ずっと家に帰ってないのか?
玄関で物音が聞こえた。黒石が俺を見て、複雑な顔をし深く溜め息を吐いた。
「おかえり。黒石…俺がいない間、帰らなかったのか?」
「……あんたがいないのに帰っても仕方ないだろう」
「俺がいなくても使ってくれて良かったのに」
「社宅に空きが出たって部長が…なんで近々ここを出ます」
「……そっか、寂しくなるな」
「なにそれ…あんたとっちゃ俺は都合のいい家政夫だったんだろう」
「なんやねん…帰って早々、なんかあったんか?」
「すみません。頭冷やしてきます」
「おい、待てって。言いたい事があるんやったらはっきり言えよ 」
俺は、 玄関に向かう黒石の腕を掴んだ。逆に黒石が俺の腕を掴み抱き寄せた。黒石が唇を合わせてくる。
「なんで受け入れてんの? 嫌なら抵抗しろよ!」
「え…ああ、どうせ揶揄ってんだろう?」
「好きでもない奴にキスなんてしないし…世話なんて焼かねぇーわ! ちったー気付けよ!」
「またそんな事言ってや、俺の事タイプじゃないって言ったやないか!」
「そうですよ! もろ俺のタイプだったんだよ! 研修で見掛けた時から! そう言ったらあんたは俺と同居なんてしなかっただろう?」
確かにあの時の俺だったら……
「こんなはずじゃなかった…あんたにキスしたら期待なんかしてさ…バカみて……」
「……嫌やなかった…嫌やないよ」
「何言ってんの? じゃ俺とSEX出来んの?」
「分からへん……」
「来いよ」
「何?」
「いいから来いって!」
黒石は、俺の腕を掴んで黒石の部屋のドアを開けた。黒石は、乱暴にベッドへ押し倒し俺の両腕を拘束した。
「え…なん…や…なに…」
黒石は、俺のシャツを乱暴に脱がした。キスをしながら胸の辺りに手を這わせる。その手がスラックス越しに、内腿から俺の中心部分を撫で上げた。
「んっ……どこ触って」
「抵抗したって無駄…あんた非力そうだもんな。でここに突っ込むの」
「……っ!」
黒石は尻の割れ目を指でなぞり、布越しでも分かる黒石の熱くて硬いモノを押し当てた。
「……分かったから…もう止めて」
「分かったなら気安くそういう事言うなよ!!」
黒石は、俺の腕を乱暴に離しそのまま部屋を出て行った。
黒石の事、分かっているつもりでいた。タイプじゃないと言われ、それをいい事にデリカシーのない俺の世話を焼いてくれたいた。
今思えば、どんなけ想われていたか分かる……俺の中途半端な情で黒石を傷付けた。
阿呆や俺!
さっきから黒石に触れられた部分が熱くて、その感触をいつまでも追ってしまう理由を……
ちゃんと考えやな…ちゃんと……
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