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第27話※
部屋に入ると同時に九十九に後ろから抱きしめられ、雪柊の心臓が大きく鳴った。
「兄ィ……?」
「すまねえ……一が相談あるなんて、嘘だ」
「え?」
「おまえを部屋に呼ぶ口実が欲しかった……」
そんな事しなくても、家に来い、と一言言われれば雪柊は何の疑問も持たずここに来ただろう。
なんだか、そんな九十九が可愛らしいと思ってしまった。
「そんな事はしなくても……」
体の向きを変えられ、今度は正面から抱きしめられた。
「そうなんだけどよ……なんか、言えなかった」
九十九は雪柊の肩に顔を埋めると、耳が赤くなっているのがわかった。
雪柊はしばし、九十九の胸に顔を埋め九十九の匂いを吸い込む。
昔から変わる事のない、柑橘系の香水とほんのりとタバコの混ざった匂い。
「雪柊……」
熱を帯びた声とともに、九十九の顔が近付いてくると唇を塞がれた。
相変わらずの九十九の舌遣いに、雪柊の腰はズクズクと疼き、次第に力が入らなくなる。
察した九十九は雪柊をベッドに横にさせた。
上から九十九は熱を帯びた目で雪柊を見下ろす。
「おまえ……オレの事好きか?」
九十九の言葉に雪柊は目を見開く。
「どうなんだ?」
雪柊は改めて聞かれ、顔が熱くなる。
そんな雪柊から目を放すことなく、九十九は真っ直ぐな視線を雪柊に向けた。
「この前……言ったはずです。命も何もかもあんたに捧げたつもりだって……」
九十九の視線に耐えきれず、目を逸らした。
「そういう意味じゃねー……!ルシファーとか兄貴分とか関係なくオレを一人の男として好きなのか聞いてんだよ……」
後半の声のトーンが落ち、いつもの鋭い目元に陰りを落とした。
雪柊は言っていいのか悩んだ。きっと、ここで言わなかったら一生言う事はないかもしれない。
意を決して雪柊は、
「好きです。一人の男としてあんたを好きなんです」
真っ直ぐ九十九を見つめて言った。
九十九はその目に射抜かれたように、目を見開いた。
そして、雪柊の体を起こし抱きしめると、
「雪柊……オレは……」
九十九が声を震わせながら呟く。
「わからねーんだ……自分の気持ちが……」
「……」
雪柊は九十九の腕に手を添えた。
その言葉を聞いてショックはなかった。自分だって男に惹かれているなど、信じたくなかったし認めたくもなかった。
「だけど……」
九十九は顔を上げ、雪柊に触れるだけとキスを落とす。
「キスをしたいと思うし、触れたいとも思う……何なんだろうな、この感情は……」
九十九の中でも、自分の気持ちを持て余しているように感じた。
「オレはいいんです……どんな形であれ、あんたの側に居られれば……」
雪柊は九十九の背中に手を回し、力を込めた。
「あんたの側にいてもいいですか……?」
そう尋ねると、九十九を見上げた。
「雪柊……」
九十九の唇がゆっくりと雪柊に降りてくると、雪柊は目を閉じその唇を受け止めた。
服を脱がされ、至る所に九十九の手と唇の感触が全身を埋めつくし、その感触が心地良く、艶めいた声が意思とは関係なく口から洩れる。
首筋、胸元と所々キツく吸われ跡を残されていく。
「あ、あんたも……脱いで下さい……」
九十九は制服姿のままで、自分だけ全裸というシチュエーションに雪柊は恥ずかしくなる。
九十九は、ふっ……と笑いを零し、上を脱いだ。
その姿が酷く官能的に見えて、雪柊はゾクゾクした。見事に割れた腹筋に見惚れる。
自分とは違い、ガッチリとした体。腕は太く、胸板も厚い。羨ましい体型だと思った。
次の瞬間、九十九は雪柊の股間に顔を埋めた。
「ま、待って……!」
九十九は雪柊の中心を口に含み、瞬間、体全身に電流が流れるような快感が貫く。
「はぁ……ん……っ!」
キスだけで果ててしまいそうなところに、この快感に一気に果てそうになる。
九十九は雪柊の敏感な所を舐め上げ、窪みを舌先で突かれる度に、雪柊の体がヒクヒクと反応した。九十九の暖かな舌の上でそれが上下に動く。
「あっ……あ……もう……」
ビクビクと体が痙攣したようにしなる。
「出せよ」
そう言って強めに吸われた瞬間、雪柊の体がビクッと大きく揺れ、九十九の口の中に出しまった。
「す、すいません……」
「謝る事なんかねーよ。これから、オレはおまえにもっと酷い事をするつもりだ……」
九十九の指が雪柊の秘部に触れられ、雪柊はビクンと肩を揺らす。
「……おまえに入れたい……」
普段見る事はない、九十九の切羽詰まった顔を向けられる。
あんたが求めるのなら、全てを……。
雪柊は小さく頷いた。
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