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第28話※
九十九の指が進入してくる。圧迫感と異物感で正直気持ちいいとは言えない。
雪柊はぎゅっと目を閉じやり過ごそうとする。
「力抜け……」
そう言って九十九は雪柊の中心を触り、ゆるゆると動かし始めた。
「んっ……くっ……!」」
指が二本に増やされ、中を掻き回される。
「ア、アニキ……」
「いてーか?」
痛いと言えば九十九は止めてしまうかもしれない。痛いというより、気持ち悪い感じがしてどうしても力が入ってしまう。
それでも九十九は根気よく中をほぐす。
内壁を添うように中で指が、円を描くようにグルリと動いている。
「あっ……!」
その時、雪柊の背中が大きくしなった。
「ここだな……」
九十九の指がそこを何度も攻める。
(な、なんだ……この感覚……すげー気持ちいい……)
今まで味わった事のない感覚に、意識が飛びそうになる。
「あっ……あぁ……!んっ……」
雪柊の口からは無意識に喘ぎ声が漏れ、中心が段々と立ち上がる。
「ここ……気持ちいいか?」
雪柊は恥ずかしいと思いながらも、ゆっくりと頷いた。
九十九は指の動きを止めず、雪柊の唇を塞いだ。九十九の舌が雪柊の舌を吸い口内を犯していく。上と下での快感で雪柊はどうにかなってしまいそうだった。
「腰が揺れてるぜ、雪柊……」
九十九の言葉に熱い体が更に熱くなるのを感じた。
「その顔……堪んねーな……興奮する」
耳元で囁かれ、体がゾクゾクとし小さく震えた。
いつの間にか指が三本に増やされところで、
「入れるぞ……」
九十九はいつの間にか小さなパッケージを口に咥えていた。封を口で切り、一旦指が抜かれる。
雪柊は、はぁはぁ……と、荒くなった息をその間に整えた。
そして、九十九が制服のスラックスを履いたまま、下着をずらしゴムを付ける。
九十九のその指の比ではない大きさに雪柊は青くなった。
「あ、兄ィ、絶対そんなの無理……入るわけねー……」
「大丈夫だよ……よく、ほぐしたから……」
九十九の先が秘部にあてがわれ、九十九はゆっくり腰を推し進めた。
切れるような痛みが走る。
「〜〜〜!」
ぎゅっと目を瞑り、力が入ってしまう。
「ほら……力抜けよ」
九十九はキスをしながら、雪柊の中心を扱く。
「んっ……んっ……」
そして、九十九のモノが一気に雪柊の中に入った。
「あぁっ……ん、くっ……」
雪柊の背中が大きく反った。
雪柊の中で九十九のモノで埋まり、下腹部が圧迫され、苦しくなる。
「はっ……んっ……」
「入ったぞ……すげー締め付けてくる……」
九十九は雪柊の膝裏を抱え、ゆっくりと腰を動かし始めると、雪柊先程感じたところを捉えた。
「あぁ……あっ……!」
「おまえの中……すげー気持ちいい……すぐ出ちまう……」
九十九の顔を見ると余裕のない、だが、その中にもうっとりとした快感に身を委ねている顔をしていた。
(女じゃないのに……オレで……気持ちいいの……?)
自分で感じてくれているのが嬉しくて、九十九が愛おしいと思った。
雪柊は無意識に九十九に手を伸ばしていた。
「九十九……さん……」
九十九は雪柊の手を掴み、その手を握った。
雪柊の唇を貪り、右手は雪柊の中心を扱く。
夏でもないというのに、九十九の汗がこめかみから滴り落ちた。
体を起こされ抱き合う形で下から突かれと、
「すまねえ……雪柊……」
そう呟やかれ、雪柊は下から激しく突かれた。
「あっ……あっ……!」
目の前に火花が散っているような感覚に陥る。
「くっ……出そう……」
一旦動きが止め、余裕のない表情を浮かべ、雪柊の胸元に顔を埋めた。
再びベットに倒され九十九に激しく突かれる。
「あ……あ……っ……んっ」
いいところを何度も突かれ、雪柊の中心からは触れられてもいないのに、トロトロと透明な液が滴り落ちていた。
(気持ち良すぎて……頭おかしくなりそう……)
下半身を揺さぶられ、雪柊は九十九の背中を掻き抱き思わず爪を立てる。
「いて……!爪立てんな、雪柊」
九十九は痛みで顔を歪め、雪柊の顔を見る。
トロリとした虚ろな目で九十九を見つめ、いやらしく半分開いた口からは、赤い舌がチラリと見えた。その口からは九十九の腰の動きに律動して、とめどなく艶やかな吐息とも喘ぎ声とも取れる声が漏れた。
正常位に戻すと九十九は雪柊の中心を握りると、上下に動かす。
「兄ィ……んっ……んっ……もう……」
「オレも、出る……!」
「あぁ……!っ……はぁ……っ」
そして、これ以上ない快感の中、雪柊は九十九の手の中で果て、九十九もゴムの中に吐精した。
九十九は出した途端、雪柊に折り重なるように布団に顔を沈めた。
お互いに息が荒くなっている。
顔を上げた九十九は繋がったまま何度もキスをする。
そして、雪柊を強く抱きしめられ、その腕の中の心地よさと射精での気怠さに一気に眠気が襲う。
もっと九十九の顔を見ていたいのに、瞼が自然と降りてくる。雪柊は眠気に勝てず、そのまま眠ってしまった。
目を開けると九十九の腕の中にいた。
「起きたのか?」
その声に恥ずかしくなり、顔を隠すように九十九の胸元に顔を埋める。
「兄ィは……男ともした事あるんですか……?」
「なんでそう思う?」
九十九は優しく雪柊の髪を撫でる。
「なんか……慣れてた気がしたから……」
「あるわけねーだろ。男はおまえが始めてだよ」
そう言って、ぎゅっと抱きしめられ背中を優しく撫でられる。それが心地よく、雪柊は目を瞑る。
「雪柊……時間、くれねーか?」
その言葉に雪柊は顔を上げる。
「おまえとの事……ちゃんと考えるからよ……」
そう言って、雪柊の髪に九十九は鼻先を埋めた。
「オレはどんな形であれ、あんたの側にいられればそれでいいんです……兄ィの思うように好きなようにして下さい。オレはあんたに何も求めるつもりはないですから……」
雪柊はそう言って、胸元に顔を埋めた。
「おまえの事、愛しいと思うよ……」
それだけで雪柊は充分に幸せを感じた。
このまま、あやふやな関係が続くかもしれない、いつか九十九に他にいい人が現れるかもしれない。それでも自分はこの人の側から離れる事はしたくないと、どんな形でもいい、側に置いて欲しいと強く願った。
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