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第29話※
それから九十九と雪柊は、何度も体を重ねた。
自分を欲してくれるだけで、雪柊は幸せだった。もう、九十九以外は愛せない、そう思うほど、自分の中の九十九の存在は大きくなっている。
九十九は考えてくれるとは言ったが、今のところは特に何か言われてはいない。
だが、雪柊はそれに対して何か返事を期待してはいなかった。期待していないと言えば嘘になるかもしれないが、九十九が自分を求める限り自分は九十九に応える。身も心も全て九十九に捧げたつもりだ。
九十九の為に死ぬ事すら厭わない、と思うほどに。
その決意の証として、背中に天使の羽根のタトゥーを入れた。
中心には《99》の数字。
その上に筆記体で、
《I will devote myself to 99.》
九十九に全てを捧げる、という意味を込めた。
まだ、九十九には見せてはいない。もしかしたら、また殴られ怒られるかもしれない。
その日も九十九の部屋に呼ばれ、九十九に求められた。
タトゥーを入れてから始めてだった。
向き合いながら、啄むようなキスと深いキスを繰り返しながら、九十九に服を脱がされていく。
ベッドに倒され、首と胸元には当然のように九十九に赤い跡を付けられる。それはまるで、自分は九十九の所有物であるようで嬉しい気はしたが、最近その跡を見られると周囲に揶揄われるようになってしまった。
「あ、兄ィ……あんまり、跡つけないで……」
「うるせー……」
そう言って、また首をキツく吸われる。
秘部を解されると、九十九のモノが一気に入ってくる。
「んっ!くっ……!」
何度入れられても、最初の異物感はどうしてもが拭えない。
正常位から不意に体が反転し、バックの体位になる。
「なんだ……これ……」
背中に九十九の掌の感触を感じ、そのまま撫でられる。
雪柊はハッとし、顔を九十九に向けた。
だが、顔が良く見えない。
「また、墨入れたのか……」
黙っていると、九十九にそのタトゥーを舐められた。
「んっ……!」
「99……なんて、書いてあるんだ?」
九十九はそう言って腰をゆるゆると動かし始めた。
「あ、あんたに……全て捧げる……」
九十九の動きが止まる。
次の瞬間、背中全体に九十九の体温が感じ、きつく抱きしめられた。
その勢いで、九十九のモノが奥まであたり痺れるような快感が体を貫いた。
「あぁ……っ!」
「そんなに……オレが好きか……?」
その声に雪柊は不安に駆られた。
思った以上に九十九に対して気持ちがある事が分かり、自分の気持ちが重く感じてしまったのだろうかと不安になる。
だが、雪柊の口から出た言葉は、
「気が狂うほど……好きです……」
そう、切なそうな声が洩れた。
今、九十九はどんな顔をしているのか、不安で堪らなかった。
殴られてしまうのだろうか……。
そう思うと、体が小刻みに震え始めた。
不意に体を起こされ、九十九の膝の上に乗る形で、後ろから再び抱きしめられた。
「怒って……ますか?」
雪柊の肩口に顔を埋め、首を振ったのがわかった。体を捻り顔を九十九に向けると何度も啄むキスをされる。
「おまえに……溺れ始めてる……」
そう呟くと唾液すら全て絡め取られるような深いキスをされた。
その日は、何度も後ろから突かれ、九十九に背中のタトゥーを撫でられては舌で舐め上げられる事を繰り返された。
それが無性に雪柊の欲情を掻き立てられ、いつもより快感が増したように感じ、何度も吐精した。
「もう……無理……」
九十九によって根こそぎ精液も出し尽くされた雪柊は最後、意識を飛ばした。
目を覚ますと、九十九に後ろから抱きしめられていた。
「約束してくれ。もうこれ以上、この綺麗な白い肌に墨は入れないでほしい」
九十九は少し悲しそうな声で言うと、優しく背中を撫でられた。
「はい……」
そう返事をし、九十九の方に身体を向けた。
そして、もう一度深くキスをした。
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