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第2話

 そして今、私はKの住む土地へと降り立った。アルバイトの長期休暇の最中。彼に会うならば今しか無いと唐突に思い立ったのだった。  Kは私を歓迎してくれた。見知らぬ男の運転する車に乗せて、私をKの家まで連れて行ってくれた。運転手はK曰く『知らない人』だそうだ。私は深くは聞かなかった。  車の中で私はそっとKの髪を撫でた。Kはとても中性的な容姿をしている。華奢で折れそうな程の細身で、大層色白で長袖のシャツを着ていた。  真面目そうな姿に似合わず、「キスして」と大胆に強請って来たので、触れるだけのキスをすると、Kから舌を出して口内に差し込んで来た。ちゅ、と舌を軽く吸うと、甘い砂糖を溶かしたミルクの味がした。車内でくすくすと笑いながら下肢に手を伸ばして来るKの悪戯に、萌す股間を抑えるのに私は必死だった。  家に着くと、古民家のがたつく引き戸を開け、ぎしぎしと軋む廊下を歩き真っ直ぐにKの部屋へと通される。人気は無いが、Kからは母と随分と歳上の姉が共に住んでいる事を聞いていた。Kは「Eが姉さんと結婚したら困るね。既婚者で良かった」と冗談半分で言われていた。  部屋に入るなり、Kは背中から抱き着き「酷くして」と囁いて来た。私が嗜虐趣味に近い性癖の持ち主だとKに言った記憶はない。何処までもKに翻弄されている気がしたが、それならば、とKの誘いに乗って甘さより激しいセックスを身体に叩き付ける欲が激しく燃えて、私はその日Kを初めて抱いた。  Kの身体は極上だった。  痛みと羞恥に悶えるKの頬を叩き、小さな唇に性器を咥えさせてイラマチオをさせた際に紅く火照った頬と、呼吸困難で涙が滲む目で上目遣いに見上げて来る歳下の青年の喉奥に精を放った時、私は征服欲に酔い痴れた。  肌が弱く夏場でも外に出る時は長袖と言うKの肌は滑らかで白く、鬱血痕がよく映える。内出血の痕が痛々しく魅せられるのを、吸ったり噛んだり、殴る蹴るをして楽しんだ。  男慣れしているのか、歳の割りには使い込んだ後孔はよく解れて、ローションで濡らした指を挿れただけでも啼いて喘ぎ、本番の挿入をする頃には蜜壷の様に私のものを締め付け、はしたなく自ら足を開いてかくかくと腰を擦り付けて、快楽に没頭して達した。  ある程度、Kの身体を貪ると、私は彼の体内に欲を吐き出してから、衣服を整えて素知らぬ顔を装った。 「ねえ、E。未だ足りない……」 「私は来たばかりだろう。少しは我慢しなさい」  そう言って、私は私の精液で蕩けたKの体内に持参して来たローターを仕込んで、アナルプラグで蓋をした。 「私が欲しければ、夜までこうしているんだ。良いね?」  Kは睫毛が長い漆黒の瞳で虚ろながらも熱を孕んだ眼差しで頷いた。 「E、思っていた以上だ。僕を貴方の性の捌け口にして欲しい。僕を沢山虐めて」 「数日は泊まれるよ。その間、君は私の性奴隷だ」  静音ローターが体内で震える快感に若い雄を勃たせながら、Kは幸せを甘受する様に潤んだ瞳を閉じた。

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