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第4話
Kの家に泊まっている数日間、毎日Kを抱いた。
昼夜関係無く彼の身体に夢中になって私の徴を刻み込む様に抱き、ナカに性欲を吐き出した。
Kは私の欲に忠実に懐いてくれた。
外でも家でも、時間があればまぐわった。公園でも公衆トイレでも海でも、嗚呼、この海はKが見せたいと言っていた海だったか。結合部に砂の混じるのを気にしつつ、ひっそりとした砂浜で私達は愛し合った。
家に帰れば、好きに体勢を変えて混じりあった。獣の体勢で後ろから激しく突く事もあったし、私が寝転んだ上に乗っかって貰って碌に動けないKを下から突き上げて啼かせた事もあった。真正面から唇を貪り合い、お互いの欲に塗れた顔を見詰め合う事もあった。
Kの身体と私の身体は相性が良く、心も又相性が良かった。
森鴎外記念館に一緒に行った。私は寡聞にして教科書で舞姫を読んだ程度だったが、落ち着いた雰囲気は私の気に入った。
「6月の半ば頃かな。外のお堀に花菖蒲が沢山咲くんだ。Eと見たいね」
そうKは年相応の笑顔を見せてくれた。可愛いらしい子だ、と閨の淫蕩さを感じさせない無邪気さで私と手を繋いで歩いた。
私は長期休暇とは言え、1週間も無い。Kとの別れの時間は刻々と近付いていた。それでも、私はKを離す気は無かった。
「次はいつ来てくれる?」
「6月の中旬かな。花菖蒲を一緒に見たい」
そう言うと、Kは嬉しそうに笑っていた。
夜、Kの裸体が花菖蒲で飾られている夢を見た。彼は舞姫、そのものだった。気の狂った愛らしい私のもの。然し、私は彼を捨てる事はしないだろう。
Kはきっと気が狂う。そんな気がした。
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