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ラフィース学園

「ラフィース学園……大きな学校だなぁ」 彩の花いっぱいの園庭は手入れされていて、テラスやガラス張りの温室まである。その奥には何とか宮殿のような形をしたすっばらしい校舎があった……。 編入する前に写真くらい見ておけば良かったと公立高校出身のオレはその壮観にビビってる。 目移りしそうな学園だけど、父さんに取りあえず学舎に向かって事務所を訪ねなさいと言われた。 (浬委さん。オレ、来ちゃいましたよ!!) 広大な敷地には寮舎と校舎が小さな森林の小径を抜けた場所で隔たれているようで、高等部2年に編入するオレは先に校舎に向かった。 前日に浬委さんに連絡を入れたら『明日は尚史君が学園に来る日ですね(ハート)。嬉しくって今夜は眠れそうにありません(ハート)。ドキドキします(ハート)(ハート)』浬委さんの文字はハートだらけになっていたけど、オレだって嬉しいという事を負けずに伝えた。 婚約者の居る学園に編入するなんて図々しくて邪な気がするけど……オレは浬委さんの釣り合うような男でありたいんだ。 今は授業中なのか、生徒は誰一人も見かけない。 思っていた以上に校舎内も広くて事務室の場所がわからなくて迷子になっていると、人が前から歩いてくるのが見えた。 「君、どうしたの?……もしかして転校生?」 その人は、白地に黒色の縁が入ったブレザーと、黒色のズボンの装いだった。この学園の生徒かな……身長も高いしなんかすごく似合ってる。 オレの今の姿は前の高校の学ランを着ているので、すぐ転校生だと分かったのだと思う。 誰一人も廊下に居なかったので内心安心してそうです。と答えた。 「へぇ…珍しいな。もしかして迷っていたのかな?」 「あ、はい…あの、事務…」 廊下をまっすぐにバタバタと走ってくる足音が聞こえて話が中断すると、その生徒が「プチプリ、急いで何処へ行くの、廊下は走っちゃダメだよ。それに転ぶからね」と走ってくる足音に声を投げかけていた。 同じく白い制服を着たなんだかふわりとした生徒が足踏みをしながらこっちを向いた。 巻き毛で綿毛のようなふわふわのヘーゼルナッツ色の髪、睫毛がフサフサで大きなア―モンド形の瞳、顔も小さい……お人形のような美少女…。あっ、で、でも浬委さんの方が可愛いです、浬委さん!! 「槇尾せんぱい、今は見逃してよー!門番が留めたはずなのに先に行ってるっていうので急いでるの…え、ええええええ、なおしくん!!?」 「はいっ!?」 突然で名前を呼ばれたので返事をしたけど、この人がオレの名前を知るはずないよね!?

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