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嫌いなんてなれない

カタンと奧から開いた個室のドアから出てきたのは、やっぱり先ほどの美少年だった。 「尚史くん、会いたかったのは本当です。す、好きなのも本当です!あ、あんな事するつもりじゃなかったんだけど、つい我慢できな…はしたなくてごめんなさいっ!!でも、嫌いにならないで、くだ…さ、い…?」 直立不動で俯きながらも一生懸命に話す人。両手が話すたびにぐんぐんと回ってる。 ごめん、それでもまだ希望を捨てられないおれがいる。 「あの……つかぬことを聞きますが、浬委さんは双子ですか?」 ふるふると、ふわりと柔らかな茶髪の髪が動いた。 「じゃあ、妹さんとか、お姉さんとか……?」 同じ動作をした。 「尚史くん、誤解をなさってるようだから、あの……い、言いますよ!?」 ごくりと喉が鳴った。わずかな希望が崩れてしまうかもしれない。 「ぼ、僕は、男なんです!!!小さいかもですがついてもいるんです!!」 き、聞きたくなかったなかったな……希望……なんて最初からないんだ。 人が悪いです、浬委さん。 こんな騙され方、史上ワーストです。 ああ……でも……。 「ごめんなさい!!僕、最初の印象は強い方がイイと思って……その…ドレスアップして尚史くんに会いに行ったんです……!でも、尚史くんはあの時の僕が浬委だと思っていて、本当の事が言えなかったんです……あれ?あの、尚史くん??」 浬委さんの正体がわかっても、おれは嫌いになんてなれないです――

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