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幼稚園児の悲劇
『だぁーりん、おかえりなしゃい、ごはんにしゅましゅか?しょれともわたしにしゅる?』
『わたしでおねがいしますっ』
『だぁーりん、りーちゃんをぎゅってハグもしゅないとだめなんだよ?』
ぎゅっ
『しょれから、ふうふはちゅってしゅるの』
ちゅっ
『なーくんだいしゅき、ちゅっ』
『ぼくもりーちゃんだいすき、ちゅっ』
『なーくん、おとなになったらりーちゃんとけっこんしゅてね』
『うん、りーちゃんかわいいしぜったいけっこんしようね』
『りーちゃんとなーちゃんはとっても仲が良いわねぇ。真美先生ヤキモチしちゃうな』
『まみしぇんせ!りーちゃんね、なーくんとしょおらい、けっこんしゅるの』
『ん?あ、そうなんだぁ。じゃあ、結婚式呼んでくれるのかな?』
『うん!ねぇ、なーくん』
『うん!りーちゃん』
『うぇ~ん!りーちゃん、こんなのやだぁ!サナちゃんとおなじみずぎがイイの!!』
『でもね、りーちゃんはこっちの水着の方が似合うと思うなぁ?水色だけど可愛いよ』
『かわいい?』
『りーちゃん、いっしょにおよごー』
『なーくん、今ね、りーちゃんが水着を着るところだからちょっと待っていてね』
『はーい』
『なーくん!これね、みずいろのかわいいのきるの!ずぼんだけど、かわいいの』
『こら、りーちゃん。すっぽんぽんで恥ずかしいよ』
『ぼくのもみずいろだよ、りー…ちゃ……?』
『どうしたの真美先生のところ、なんか泣いてる子がいるようだけど…?』
『波奈先生…尚史くんが、浬委ちゃんをずっと女の子だと思っていて……その、尚史くんと同じものがついてるのを見ちゃって大変なショックで泣き止まなくて、それに浬委ちゃんも男の子じゃないって泣くし、どうしたらいいのかしら』
『まぁそうなの……浬委君は外見では完全に女の子だったから……可哀そうだけどいろいろ問題があっても困るので早く分かったのは良かったのかも知れないわ。成長したらお互いに笑い話になってるわよ』
『そうですね。今は可哀そうだけど、間違った方向に行くよりかは――』
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・
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「なるほどね、そんな黒歴史が浬委にはあったのか。ははは愉快だ」
「黒歴史とかじゃ無いよ!あの頃は純粋に僕だって女の子だと思っていたんだからね、だから僕だってめちゃくちゃショックだったんだから……」
「それはわかった。しかし何故、俺が理事長室に呼ばれて転校生を運ばなければならないんだ?」
「……さっき、僕が尚史くんを抱っこしようとしたけど落としちゃったから……朱里は無駄に高身長で力持ちでしょ!」
「落としたのか……!それでも起きなかったんだな、結構図太いな、転校生」
「尚史君だよ!意地悪しないでね……長旅で真実を知って心労が溜まってしまったの。どうしよう、このまま目を覚まさなかったら……僕のせいだ……っ!」
「もう一度、向き合って話して見たらいいさ。まぁ、俺には恋敵になりそうだからこのまま目覚めなくても問題ないけどな」
「尚史くんが目覚めなかったら朱里を呪うからっ」
「だから、なんで俺が呪われるんだよ。落とすぞ」
「あ!ここが僕たちの部屋だよ!!」
ふん、邪魔してやる。
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