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二人の部屋

僕は学園では生徒会役員なので一般生徒とは特例の生徒会専用個室が与えられている。 時季外れの転校生であるため尚史くんの一般寮の部屋が空いていないと言うので、物置を片して使用する事になると最初に言われた時は僕はとっても不服に思った。 だからフォン理事長とちょっぴり怖い寮長に駆けよって、個室は一人で使うには広いし本音を言うと尚史くんにも一緒に使ってほしかったので最初は難しい顔をしていた寮長を説得しまくってやっと同室にしてもらった。 当初は無我夢中で抗議をしたけど、今思うと尚史くんと一緒の相部屋だなんて……ぼ、僕って大胆だったかな……?でも今回のことで考え直したことがある。 今迄は下心も深かったけど、そんなのじゃなくて僕の事をもっと……理解をしてほしいなって思ってる……。 じゃないと、女装好きな変態な久留米浬委だと思われてしまうし、嘘つきだって嫌われたままになってしまう。 それが、怖いのです……。 ところで、朱里は部屋の真ん中で尚史くんを抱えて(お姫様だっこなんて認めない)立ち尽くしていた。表情を見ると普段は細長の瞳なのに稀に見る大きさに見えた。 「朱里、早く尚志くんをベッドに降ろしてあげて?」 寝室のドアを開けて尚史くんの為に理事長からお許しを頂いたセミダブルのベッドを指さした。 「あっ、そーっとお願い」 癪だけど、朱里の胸で静かな吐息で眠り続けている尚史くん。その顔は天使!!やっぱり下心が勝っちゃうそう、ダ、ダダダメダメっ 「セミダブルを購入したのか……!親父はマジで浬委に甘いな、ふん……三人は余裕じゃないか?」 尚史くんをベッドに降ろした朱里は、その横に腰を掛けて何をするのかと思ったら尚史くんの横で添い寝のようなふりをした!! 冗談じゃない!! 「そこだめ!!初、尚史くんの横は僕が寝ると決まっているの!!」 僕は朱里の片腕と脚を両手で掴んで、ズゥズゥ~とベッドからずり落とした。 「俺への仕打ち、酷いぞ……浬委」 僕は朱里に丁寧にお礼を言って、早々に部屋から退散してもらった。 隙あらば迫ってくるプレイボーイの朱里は、いつまでも部屋に居させたら尚史くんも危ない! 二人きりになった部屋。 今日から、僕と尚史くんの部屋なんだよ。 尚史くん、起きたら驚く? 心臓がドキドキって痛いのと切ないのと、ほんわり小さな音が響いてくる。 「尚史くん……あの時と同じように悲しませてしまったね」 でも、好きなんです。 あの時から……性別なんて囚われていなかったあの頃から。 尚史くんの唇にそっーと僕のちょっと震える唇を合わせた。 「……ん、あゆか……だ、め」 唇から離れた時、尚史くんから漏れた小さな寝言に僕は固まってしまった。

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