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15 よろしくお願いします

「尚史…くん!?」 何だか知らない間に寝ていたようで目を覚ましたらしいオレの目の前には、浬委さんの泣き顔があってきゅって抱きしめてあげたい衝動になって声を掛けるだけでいっぱいだった。 そっか…オレは浬委さんの実態を知って不甲斐なく意識を失っていたんだ……。 「あ、ああああああゆかって誰ですか!?」 へ? 「あ、え…オレ、そんなこと口走って……?」そういえば夢の中に出てきたような……? 「あゆかって誰ですか!?」 浬委さんはずずいっと首を突き出して顔を近づけてきた。鼻が付きそうな距離間なものだから焦る。 このドキドキはなんだろう。 ……浬委さんは男性だと分かっても尚、惹かれているだから……。 「ちっ、近いから…、ですよっ?」 「尚史君の心の中に、忘れられない人がいるんですか?僕ではなくて?」 「そんなことないです!あゆかは……えーと」 元彼女なんでイイのかな?オレの気持ちとしてはそうだけど、それとも元クラスメイトのような気もする。 「元カノなんて言わないよね?なおしくん」 浬委さん、目元に黒い影が…顔がこわいですっ 「あゆか…あゆかは元クラスメイトで…「下の名前を連呼して呼ぶほどの仲の良いクラスメイトだったんだね?」…すみません、以前お付き合いをしていましたっ…!」 黒い影の浬委さんの顔がふっと力をなくしたような表情になって、超至近距離感が一気に遠ざかった。やっと息を吸えるような気持ちになった。 「尚史君は正直ですね。ごめんなさい。嫉妬してしまいました…僕は尚史君にヒドイ誤解をさせちゃったのに……悪いって思っているのに、それでも尚史君が僕以外の名前を呼んでいたのが辛かったんです」 浬委さんはオレの体の上に乗っかっていたのは驚いたけど、すぐ避けてくれて小さな声で申し訳ないと言うように肩を落としながら辛そうにしている。 オレは横になっていた体の上体を起こして、今度は真正面にある浬委さんの姿を見つめた。 ちゃんと目を見て話したい。 オレの本当の想い。 「そんな良い思い出ではないけど…嫉妬してくれたのは嬉しいです。それに、オレも浬委さんが好きです。同じ性別だったと知っても変わってない気持ちです……正直、まだちょっとどうしたら良いかは分からないけど……でも、浬委さんと傍に居れて学園生活まで送れるのは嬉しいです、あの、こんなオレだけどよろしくお願いします……!」 「尚史くん!!ありがとう!!僕も大好き!!」 がばっと浬委さんが飛び上がってきてオレに思いっきり抱き着いた。 オレも遠慮をしないで浬委さんの背中に腕を回した。浬委さんとハグするのは初めてだった。 確かに、女の子のような柔らかさはないけど温かさがある。 ホッとするような抱擁感がある。 「どうぞ、よろしくね」 優しい声をくれる。

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