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16 男前の浬委さん

浬委さんとオレはお互いに正座をして真正面を向きながら改めてぺこんとお辞儀をした。それもオレがぺこんとすると浬委さんもぺこんとして、なんだか条件反射でまたぺこんと返すと浬委さんもやっぱりぺこんとして、そんな状況に二人は笑った。 ところで、オレ達が座っているのはベッドの上で……それも普通のサイズのより大きい。程よい硬さなので寝心地も良さそう。 「浬委さんの部屋って……凄いですねぇ。広いし部屋の中に寝室の部屋もあって……」 改めてベッドの上からだけど見渡してしまう。 「一般の部屋と違ってこの部屋は特別部屋なんだよ。尚史くんの荷物も届いているし、今日から僕と同室なので自由に使ってください!」 「…え?」 ポ~ンっとベットのスプリングが弾んで、再びオレはふわっと倒れたかと思ったら天井を向いてる。 「一緒の部屋って…浬委さんと…?」言葉は疑問形で流していたとき、浬委さんの可愛い顔がアップになって、先ほどよりも凛々しくて耳元に唇を寄せられて「そうだよ。これからは余すことなく尚史くんを知ることが出来る」なんて浬委さんは男前なことを言うので耳が赤くなるのが分かった。 オレと浬委さんが一緒に寝転がっても(今は覆いかぶされてる状況だけど)余るスペース。きっと寝室はこの部屋だけでこの大きなベッドをオレも使うんだろうか……?これって、それって! 「尚史くんにも僕を…たっぷり受け入れてほしいな」 耳元にあった顔がゆっくり離れていくと、上体を起こしてオレを見下ろた。 ドキンドキンと心臓の音がダダ洩れ状態で、浬委さんの言葉にどんな意味があるのだろうと目まぐるしく思考に耽っていたら、浬委さんの指で着ていたシャツのボタンを外されていく。 「り、浬委さん、あの…っ」 「寝汗とか気持ち悪いよね?あ、そうだ、お風呂に入る?この部屋のバスルームって広いんだよ」 あ、そ、そっか。別に意味は…寝汗なんだ、あ、寝汗ってオレ匂ったのかな?さっきはたくさんハグされたし、したから~うわうわ~っ 全てのボタンを外されて上半身が裸になった。 浬委さんは男だって分かっても裸はなんだか恥ずかしい!! 「尚史くん、あんまり筋肉ないんだね…ピンク色だ」 「う、薄いかな…オレって運動系苦手で……ピンクってどこですか?」 「ふふ、いいの。これでいいよ」 オレの胸なんかを指で触られて……や、どこを触るんですか!! ピンポーン ドンドン 「チッ」 インターホンと続いてドアを叩く音と、浬委さんの歪んだ唇が耳と目に同時に映った。 ピンポーン ドンドン 「……尚史くん、ちょっと待っていてくれる?」 そう言うと、ちゅっとオレの額に唇を落としてベッドから降りた。 浬委さんからそんな仕草……な、なんか困ります……男前ですって!!

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