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23 謎のイケメン

なんていうか……。あの、これってどういう状況なんだろう? オレは取りあえず、リビングのふっかふかジュータンの上で正座をしている。 ・ ・ ・ 浬委さんはあれから顔も体ものぼせて再起不能状態だったので、浬委さんに失礼をして下着を履かせ、部屋着を着せ、浬委さんのなま裸に手を触れる感覚に恥ずかしいなんて言ってられなくせっせと支度をして、リビングにある5人は座れそうな長ソファで横になる浬委さんの回復を見守っていた。 ミニキッチンには冷蔵庫があって覗くと、ミネラルウォーター(高級‼)があったので、浬委さんに飲ませようと取り出した……までは良かったけど再起不能なので飲むことが出来ない。 どうしようか、でもほっといたら脱水状態になるし……。 僕は意を決すと、ぺットボトルの蓋を外してそれを自分の口に少量を含んだ。 浬委さんの半開きになってる唇にそっと顔を近づけて、あまりに近づき過ぎたので一度喉が鳴ってゴクリと口に含んでいた水を飲んでしまった。 何をやってるんだ、オレ……! 慌てないでもう一度ミネラルウォーターを口に含んだ。 浬委さんの唇は赤く何もかも紅潮していて、ハァハァと漏れる吐息まで赤く見えそうになった。 もう一度喉が鳴りそうになったのでグッと押さえて、浬委さんの唇に触れる寸前――。 ガチャンとオートロックのはずのドアが開いた音がした。 中腰のままのオレは吃驚してその反動でむにゅっと浬委さんの唇をただ付けて離したのだった。 立ち上がると、ごくんとまた意味もなく口に含んでいたミネラルウォーターを飲み込んだ。 「なるほどな、そういう事か。しかしやはり図太いな転校生。今俺を見る前にいったん躊躇していたキスを忘れなかっただろう」 「え!ち、ちちちち違いますからっ」 ――て、あなたは、誰ですか!鍵を開けて入って来たようですけど……?? スタスタスタと軽やかな足取りで不法侵入の――男前のイケメン――がソファにやってきて長い脚を組んで座った。オレは空気のようにペットボトルを持ってその横で佇んでいる。 浬委さんの頭部をそっと持ち上げて膝に乗せると、オレの手にあるミネラルウォーターのペットボトルを取り上げられた。 思わず唖然として見ていたが、手に取ったペットボトルをイケメンの口元に寄せるのを見て、咄嗟にイケメンの手を阻止してペットボトルを取り返した。 ミネラルウォーターの雫が弾いて浬委さんの頬にピチャンと落ちた。 「あの!今、オレがしようとしてて浬委さんに……!」 取り返したペットボトルを両手で抱えてイケメンに抗議をした。 イケメンだからって、紳士的に浬委さんを助けるそぶりをしているからって、浬委さんに、く、くく口移しで水を飲ませるなんてオレが許せないことだった。 「わかった。まず、君はそこに座ってくれ」 そこ、と言われたのが今、正座してるふっかふかのジュータンの上だった。 確かに、イケメンはこの部屋のお客さんの立場ならソファに座って貰っても違和感はないのだけど、なぜ、オレが絨毯に座る状態なのだろう? 謎のイケメンはペチペチと浬委さんの頬を軽く叩いて、浬委さんを覚醒させた。 「…んっ……ふ?…なお……えー、しゅり?」 少しぼやけた声だけど、浬委さんが目覚めた。それもイケメンの膝に浬委さんは頭を乗せて仰向けになってるから二人は見つめ合ってる……。 ズキンって心の奥がささくれた。

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