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24 嫉妬は隠せない 2
浬委さんの両腕がぐーんと伸びてイケメンの顎にパンチをした――ように勇ましく伸び上がって、上半身を起こした。
「尚史くん…っ!あ、僕……」
浬委さんはお風呂でのことを思い出したのか両頬に手を覆って恥ずかしそうにしている。
それなら、オレの方が尤も恥ずかしい行為というかなんかやっちゃって、浬委さんを今更ながらにまともに見れなくなったので、もじもじと絨毯の長い毛を弄くりまわした。
「プチプリ、顎が痛いのだが酷くないか?」
「何で僕達の部屋に朱里がいるの?…アッ…」
「めまいを起こしたのか、急に起き上がるからだ馬鹿。転校生、手に持っているペットボトルを浬委に渡してくれないか」
「えっ、はいっ」
浬委さんの顔色が赤色から白っぽく変わっている……本当に具合が悪そう。
オレは気が利かなくて浬委さんにミネラルウォーターを手渡した……んだけど、受け取らない。
「飲ませて…、尚史くん」
「……!!」
うるうるとした瞳の浬委さんだけど、そ、そそそれは出来る気はしない。今は謎のイケメンがジーッとオレ達を見ているし、先ほどのような一人チャンスがあれば出来そうだけど……きっとまた浬委さんのドアップに絶えきれなくて呑み込んじゃう気がします!
「それを渡して」
オレはペットボトルを手渡した。浬委さんに直接ペットボトルを口に含ませて飲ませている、謎のイケメン。
膝に再び乗せた浬委さんに変わってペットボトルを持って飲ませてあげてる。
それはいいのだけど……。
「…んっ…ふ…はっ…んっん…っ」
ぺ、ペットボトルを口に付けられて飲んでいるだけなのだけど、な、なんだか声が、状態がエロいですって浬委さん!!
「吸い付くの上手いだろ?」
オレの方に向けて意味深に眼を細めて笑う謎のイケメン。
拳を握って謎のイケメンに声をあげた。
「あ、あなたは誰ですか!?勝手に鍵を使って入ってきましたよね、浬委さんとどういう…っていうか、そんな飲ませ方、やめてください!!」
「転校生は俺を知らないか。今朝はお前を連れてきたんだが……まぁ、俺はこいつの恋人――」
「んっ、んっ、んっ……ごきゅごきゅっ…ぷはぁぁぁぁぁ」
浬委さんはペットボトルを殆ど一気で飲み干していた。
それに最後、謎のイケメンは恋人って言いませんでしたか?
「生き返ったぁ……てかさぁ、こんな飲ませ方やめてよ。それより何で朱里がいるの?ここは僕達のスィートルームなんだからね!」
「何がスィートルームだ。その分だと大方、約束を忘れているんだろう?俺は呼びに来ただけに過ぎない。もちろん会長権限でマスターキーを使用しただけだ」
「あ!そっか。まるっきり忘れていたよ。けど合い鍵は私物化しないでよね、いつもそうなんだから。櫂矢や先輩たちには悪いけど今日はこの通り無理だからそう伝えてよ。僕は尚史くんと……尚史くん?」
元気になった浬委さん。それは嬉しい。
でも、謎のイケメンと何だかとても親しい会話(いつもマスターキーでとか言ってて)に浬委さんが……何を思っているのかオレは良くわかりません。
ぷいっと浬委さんから視線を外してしまった。
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