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27 抵抗してください

「帰えってよ!……朱里……っ」 「フッ、今日のところは引き上げる。大人しく寝ているんだぞ、プチプリ」 それは、まるでお姫様の頬にキスをするように―― (また……) 弱々しいパンチが浬委さんの腕から伸びたけど、その腕を意図もたやすく謎のイケメンは受け止めた。 「本当に、やんちゃな姫だ」 浬委さんに優しいまなざしで見つめる謎イケメンが嫌だった。 そんな謎イケメンを見る浬委さんにも嫉妬した。 だから、僕は今度は怖がらないでその謎イケメンの制服の裾を掴んで思いっきり引っ張って追い払った。 「!!」 謎イケメンはそれでも薄笑いをしたけれど、寝室から出て行った。 まったくオレの方など一度も見なくて、ガチャっと奥の方から音が聞こえると立っていた体に力が抜けてその場に座り込んでしまった。 「尚史、くんっ……あの、僕は」 でも、こんなところで座っていられないから、ベッドの端に両腕で支えて起き上がる。 浬委さんの小さな声を耳にするけど、どんな返事をしたらいいか言葉に詰まって……きっと今のオレは浬委さんを責める言葉しか出てこないかもしれない。 なら、このまま寝室を出ようと向かうと、「尚史くん、ごめんね、あの……」 「オレ、リビングで休みます。浬委さんも体調気を付けて休んでください」 顔も見れなくて、寝室のドアをじっと見ながら伝えた。 ガタンって浬委さんがベッドから降りる音がした。 「尚史くん、驚かせてしまったね……あの人は僕の従兄弟で橘 朱里っていう学園の生徒会長で……気を悪くしたらごめんなさい!……でも僕は…っ」 抱き着かれると思ったけどそうじゃなくて、…あの人…浬委さんの従兄弟で生徒会長……それにイケメンでオレにしたらスペックが凄くてショックが大きかった。 「そうですか……。あのオレ、めっちゃ疲れたので……おやすみなさい」 「待って!」 大きな浬委さんの声にくるっと返って見たら、今度は浬委さんがうっすら涙を大きな瞳に溜めていた。 「僕は大丈夫だよ、全然平気だよ!だからなおしくん、ベッドを使って一番疲れてるの、なおし『だったら!!』――?」 「どうして、抵抗してくれなかったんですか?二度も…キスされて……そんなに魅せつけられてオレは悔しいし、嫉妬しない訳がないじゃないですか!!」 バタンと寝室のドアを少し荒く閉めてしまった。 しょうがないんだ。これが今、オレの隠しようのない黒く濁った気持ちだから、浬委さんにこれ以上見せたくないんだ。 あの謎……従兄弟のイケメンが煽るようなことをしてるようにも思えたけど、どうしても浬委さんを責めちゃいそうで。

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