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37 浬委さんがいない
「はぁ~」
初日にて午前中は乗り切れた。というか、オレを普通に受け入れてくれた2年V組で良かったと思った。玉井っていうブランド?のせいでもあるかもしれないけど、この学園では色眼鏡のような目で見ないし嫌な思いはしなかった。
「初日だし、緊張して疲れた?」
机にうつ伏していたら後ろからトンと椅子を弾く振動がして頭を上げて後方の席にいる中川くんに振り返った。
「ううん、疲れはしないけど……んーやっぱり疲れたかな?」
「どっちー?けど、溶け込みやすいと思うよ?このクラスって他のクラスよか競争心が薄目だし変な奴ら多いしね」
「そうだね、あ…いやそうじゃないよ!」
「オレからしたら玉井も変な奴と思うし?それにみんな気付いてないようだけどそのタイピン――」
「玉ちゃん、中ちゃん、めしめし!!昼飯食べに行こ~う!食堂に移動だよ、玉ちゃん!!」
隣の席の瀬川くんがトイレから戻って来たようで明るい笑顔を張り付けながら駆けてきた。
「中ちゃんって、お前オレにそんな呼び方したことないだろ?それに馴れ馴れしく玉ちゃんって……」
「いいじゃん、玉井くんって呼びにくいし、玉ちゃん良くない?ついでに中川は中ちゃん。おれ、瀬川だからせっちゃんでもいいよ~」
ガタンと中川くんは席を立って「馬鹿はほおっておいて行こうか」とオレに促す。
「ヒドイ!この前、ペペロンチーノ奢ってあげたのに!」
何時の話だよと続ける。二人はなんだかんだ仲が良い見たい。
オレはちらっと窓を見た。
二時間目あたりから浬委さんの姿を見ていない。どうしたんだろう……移動教室とか、席を変わったのかな。
それに休み時間にも来なかったし、来てもV組の人たちは吃驚するかもしれないけどなんだかずっと気になっていた。
二人に着いて行った学生食堂は、オレの思い描得ていた空間と違ってめちゃくちゃ広くて茶色を基調にした重厚な内装に驚く。だってもはや食堂じゃなくて由緒あるホテルのラウンジみたいだから。
「今日は何処に座ろうかな~、やっぱり食事を持って来やすい場所だね」
大体、1年生から3年生の席が決まっているらしく、それにしてもスペースは広いので好きな場所を選べるみたいだ。
さすがにオレ一人でこんな広い食堂で食べるのは寂しかったかもしれない。誘ってくれて良かった。
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