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40 こんな浬委さんは嫌だ
浬委さんの行いにクラスのみんなは引いている。
普段は、きっとこんな真似をする浬委さんじゃないはずだ。
「浬委さん、理由が何であれこんな事をしちゃ駄目です。早く紐を解いて謝らなくちゃ……」
オレは浬委さんの両腕を離して、クラスメイトの手首に巻かれている紐を解くのを手伝った。
どうしてこんな事をしたの、浬委さん。
浬委さんはその場から佇んでいてまったく動こうとしない。でもオレはもう声を掛けることもしないで、クラスメイト達に然るに謝って紐を解くのに専念していた。
皆は不思議に思っていて『浬委ひ…ちゃんが怒ってるのは俺たちのせいらしいけど、なんで玉井が謝る?』と言われ、確かにそうなんだけどなんて言っていいのか躊躇していた。
浬委さんは黙々と黒板に書いていた名前をスマホ内に入れていた。
まったく反省していない浬委さんにオレは呆れてしまった。
「……こんな浬委さんは嫌だよ……!」
嫌いだよ……!と、教室中に大きく響いてしまった。
「な、お…っ!…こ、…このクラスに居る全てが、俺の尚史を穢そうとしていた。だから牽制をはった!!当然だ、駄目なのか!……っ…ばか!!」
「そんなこと、あるわけ……ない…で」
強気で話す浬委さんは大きな瞳から溢れ出そうになってる涙をギュッと耐えて、それでいてクラスメイトに鋭いガン飛ばしをして、教室から出て行ってしまった。
あ、あんなに怒った浬委さんを始めて見た。
「はぅあ~~~~っ」
クラスの皆は変な奇声をあげながら各自、机の上や床に倒れてぐったりしていた。
マジで怒らせた。
「っつうか尚史って誰ヨ?」
「つまりは、浬委姫の何かってことよな?あれだけ牽制はっていったし」
「あー玉ちゃんって尚史って名前だよね~?おれ、記憶力良いんだっ」
瀬川の答えに、皆は信じられないものを見たようにオレを見て指を差した。
『え!!玉井!!!!!!?』
一堂に、奇声が大きく教室内に響いたのだった。
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