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43 僕たちの証

「キライだって言われたってイヤだって言われたって尚史から離れないっ、絶対に離したくないっ」 何時にもまして浬委さんは真剣な眼差しでオレを魅入る。可愛い――と揶揄するには失礼のように思えた。 オレを真っすぐ捉えて映る潤った茶色の瞳は迷いも無いし、嘘も無い、強く煌めく眼差しの色には自信が含んでる。 真剣にオレの事を思ってくれる浬委さんの想いはとても嬉しいし、なにも無いオレにはとても贅沢だ。 「オレだって離したくないです……浬委さんを独り占めに出来るならしたいです……」 うるうるしていた浬委さんの綺麗な涙がツツ―と頬に光ってる。 オレはこんなに綺麗な涙を見せる浬委さんにどきんとしながらも、浬委さんが泣く程の事をオレは無責任な正義感で傷をつけてしまったと後悔した。 「じゃあ、僕は尚史くんの証で、尚史くんは僕の証だって……誓ってくれる?」 「オレに出来ることなら……って、証?」 ブーブーと機械音が浬委さんのスマホだろうか、言葉を遮断させた。 浬委さんの手に持っているスマホが振動している。けど、浬委さんはそのまま言葉を繋いだ。 「尚史くんに、僕のファディになってほしい。だってもう僕たちは両家を介して婚約をしてるから、神聖な学園の教会でも誓いたい……駄目ですか?」 「えっと……学園にある教会で誓う事をファディと言うんですか??」 「はい、そうです。ファディになると全学園生に認められた恋人同士って事になるのです。尚史くんはもう触手から危険に合わせることも無いと思うので、僕は早く進め……あーもう、ブーブーうるさいなっ」 触手なんてまだ言っているけど、でも浬委さんの言葉は……これってまるで――。 『結婚式、見たいですね……』 口に出してボソッと呟いたからか、その意味に顔からボッと発熱したように顔全体が熱くなって痛い。 浬委さんはスマホに向かって「お腹が痛いの、休みますっ」と叫んでいた。 オレもたぶん授業を休んでいることを脳内でわかっていても、浬委さんのファディの言葉が脳内半分以上占めていてそれどころじゃなかった。 そういえば、教会が校舎の裏側にあったことに気が付いて、それにこのラフィース学園は新教のミッション系だった。

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