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可愛いひと

「…と言うわけで、玲! また4人で会いたいんだけど」 早速、三歳は津本に 会うために動き出した。 といっても、津本とは まだ個人的な付き合いはない。 いきなりふたりで会おうと誘って 断られるのが恐くて そんなこととても出来ない。 「いいけど、 ふたりで会う方がいいんじゃないの?」 玲に指摘され、言葉につまる。 「こ、断られるの恐いじゃん?」 「恐がってどうすんの! 狙った獲物はずるく賢く 捕まえるもんだよ!」 「っえぇ?ずるく?って?」 「いい?三歳、男は欲に弱いものだよ。」 玲が何を言おうとしているのか、 何となく察した三歳は、 慌てて玲を止める。 「ちょっ、何の話してんだよ!」 「酒と三歳の魅力で酔わせて、 既成事実をつくればこっちのもの。」 玲は明るく奔放なタイプに見えて 享楽的な面や怪しい魅力があった。 「そ、んなの、 玲だからできんだ! 俺には魅力とか」 「あるよ。」 玲が珍しく、低く通る声で言いきった。 そのせいか三歳は思わず黙ってしまった。 「三歳は真っ直ぐで可愛い。 初なのも魅力、 全身でぶつかれば落とせる。」 なんて話をしたのが数日前、 結局勇気のない三歳は玲に頼んで 三歳と玲と玲の恋人と津本の4人で 飲みの席を用意してもらった。 ただ、お酒でも飲みながら話して、 津本についてもっとよく知って あわよくばふたりで会う約束を取り付けて、 と考えていたのに。 気が付けは津本とふたり、 飲み屋の近くのホテルに来ていた。 津本はいま、シャワーを浴びている。 『ど、どどどど、 どうすればいいんだ??? 何でこうなった?????』 飲み屋で、いっぱい話して お酒も結構飲んで、 酔った津本は歩くのも面倒そうで、 甘えたように、帰りたくないなーなんて 見上げてくる姿が、 初めて見る津本の可愛い一面で、 ドキドキしてたまらなくて、 流れに身を任せ津本についてくると 気が付けばお洒落な部屋の クイーンサイズのベッドの上。 『あれ??これってどういうこと?? 津本さんもその気があるってこと??? 俺、なにどうするのが正解なの? だっ、抱いて、もらえばいいのかな? わからない、わからないどうしよう!!』 その時、ガチャリと音をたて、 シャワールームに続くドアが開いた。 バスローブを身に纏った津本が 美しい黒髪を湿らせて妖艶に微笑む。 三歳が腰かけるすぐ横に トサリとうつ伏せになり、 三歳の顔を見上げてくる。 「はーっ、いっぱい飲んだなぁ。 でもまだまだ飲み足りないね。」 語尾にハートマークでも 付いているような甘えた口調で 津本が告げている。 『かっわ、かぁっっわいい!!!! 津本さん!!!可愛いぃぃ!!!』 口には出さずに三歳は悶える。 知り合って数ヵ月、 三歳が初めて知ったこと、 酔った津本はとても可愛いということ。

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