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王道な異世界での生活-1

今日も朝から転校生は元気だった。 昨日の態度は夢だったのか?と疑いたくなるくらいいつも通りの元気な転校生で、朝からもりもりと肉を食べていた。俺は眠くてぼぅっとする頭で誰か食わせてくれよーと思うけれど、ここには会長がいないのだ。嬉々として俺の口に食べ物を運ぶ会長を想像するのは簡単だったけど、それはいけないと首を振り考えを振り払った。 「なぁなぁなぁ!」 やっと目の前にある食事に手を付け始めたころ、転校生はとっくに食べ終わり今にもどこかに駆け出していきそうなくらい身を乗り出し「今日何して遊ぶ?」と言い出しそうなくらいワクワクしたような表情を見せた。 「今日は何教えるか考えようぜ!」 コイツの前向きさは少し見習わなければいけないかもしれない。帰りたいとは思う。けど、帰り方を調べながらも出来ることはあるのかもしれない。このまま何もせず、帰ってしまいましたと言うのは恥ずかしい気もする。何してきた?と聞かれ何もしなかったと答えるのもたぶんきっと恥ずかしい…転校生はきっと何かして帰るのに。帰らないのかもしれないけど…。 「とりあえず…ここに何がないのか知らなきゃいけないと思うんだ…。」 「そうだな!教えました。知ってます!じゃあ恥ずかしいもんな!」 そうだ。恥ずかしい。まずはこの世界を知る事だ!という事で、図書館などはあるか?とイケメンに聞いたらそれは何だ?と聞き返された。たくさんの本があって自由に読める施設だと答えると、本自体出来たのが比較的近年の事で数が少ない。けどあったら便利だろうから計画を立てよう。と言われてしまった。俺役に立ったな? では、今までに何を教わったのかわかるようなものはあるか?と聞けば、薄暗い埃っぽい部屋に連れて行かれた。今までの記録があるらしい。 黙ってられない転校生の話に適当に相槌を打ちながらひたすら記録と言うかメモのようなものを見ていく。それは全部日本語で高校生が多いように感じた。 「なぁ、これ俺たちの学校からって多くね?お、先生発見。」 「…だなぁ…。なんか此処に来やすかったりするのかな…。」 高校生の八割は同じ学校だった。数人いる教師らしき人も同じ学校で、やっぱりあの学校がここに繋がりやすいのは間違いないだろう。 「ちょっ!?王様ゲームとかあるんだけど…そんなでいいなら俺だって余裕だな!!!!!あ、そういえばアイツ、王様なんだって。知ってたか?」 「…ん?アイツ?」 「そう!あの偉そうなヤツ!王様とかいるんだな。うけるわ~」 大爆笑している転校生を横目に、なるほどと納得した。彼はきっと数少ない成長することのないこの世界を理解している王族の一人なのだ。そして、誰よりもこの世界の成長を願っている。そうでなかったら俺らみたいな何が出来るかわからない子供に頭を下げる事なんかできないだろう。本気な大人を前に俺は何をしたらいいのだろう…。俺なんかで良かったのだろうか。あの時俺がぼーっとしていなかったら、突っ込んできた転校生を支えていたら…もっとこの世界で役に立てる知識を持った人がここに来たかもしれない。 そんな事を考えながらも帰る方法と今までここを成長させたものを読み進めていく。 今までこの世界に来た人はもれなくみんな真面目だったらしく、かなり細かく書かれているので読みごたえはあるけれど時間がかかる。 転校生はとっくに飽きていて、「体動かしたいよなー。」とストレッチを始めたかと思ったら、筋トレにまで発展していた。けど、今までを思えば何も壊していないだけ頑張っているのかもしれない。 100をとっくに超えた腹筋は、イケメンが「お腹がすいただろう。食事を用意した。」とやってくるまで続いた。途中数を数える声があやしかったのは聞かなかったことにしてあげたい。お前もう高校生だろう。しっかりしろ。 よくわからない奇声を発しながら部屋を出ていく転校生をこの国の王であるらしいイケメンと見送った。

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