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王道な会長が迎えにきた-2

ふんわりと頭を優しく撫でられ、目を覚ましいつの間にか眠ってしまっていた事に気が付いた。泣いていた事もあり、なかなか開ける事の出来ない瞼に冷たい手が触れ会長ではないという事に思わず顔を歪めた。 「…すまない。」 王の謝罪に小さく首を振るとまた、柔らかく頭を撫でられた。何かを言わなければいけないとは思うけど、目を開ける事すら嫌だった。 目の前にいるのが会長ではなく王だと現実を突きつけられたくなかった。 この世界が嫌いなわけではない。王も俺と接する人たちも優しい。転校生だってイキイキとしていて、向こうより楽しそうだ。相変わらずうるさいけど、学園にいた時より迷惑は感じていない。 けど、ここじゃないと思うのだ。 俺はあの学園に戻りたいと思い、願い、祈ってしまうのだ。 「君が帰りたいと、強く思っている事は知っている。けれど、私は此処にいて欲しいと思っている。…すまない。」 聞こえるか聞こえないかの小さな声での謝罪は王自身も苦しんでいるかのようだった。けど、どうしても帰りたいと思っている自分には答えることが出来なかった。 「…ゆっくり休むと良い。」 ふっと王が動く気配がしたと感じた瞬間、大きな音を立てて扉が開いた。この城でそんな煩いのは転校生くらいなので、また何かあったのかとそちらに視線をむければそこにいたのは会いたくて会いたくて仕方のなかった会長が不機嫌そうな顔をして部屋に入ってきたところだった。 「それに触るな。」 聞いたこともなかったその声は低く怒っているようだったけど、間違いなく会長で俺は迷わず抱き着きわんわんと泣いたのだった。 俺が泣き止み、落ち着くと王はいつの間にかいなかった。 「泣きすぎだ。」 会長はそう不満そうに言いながらも、柔らかいいい匂いのするハンカチで俺の顔を丁寧に拭いた。それにしても、距離が近すぎる…と気持ちに気付いた俺は会長から離れようとする者のそれは許可されず、べったりとくっついた状況に心臓がうるさく騒いでいた。 「会長はどうやってここに?」 「帰ったら教えてやる。」 会長の答えに帰れるのだと知り、安心してまた涙が溢れてきた。泣きすぎだと笑う会長の肩に顔を隠すようによせれば優しく頭を撫でてくれた。 これだ…会長の手だ、匂いだ。と思えばまた涙が溢れてくる。そんな俺に会長は呆れも怒りもせずただ頭を、背中を飽きずに撫で続けてくれた。 しばらくすると扉をノックされ、王の声が聞こえた。 「もう、落ち着いただろうか?食事をしながら話をしよう。」 それに「今行きます。」と返事をすると隣を歩く会長を何度も見ながら、そして何度か触れながらいつも食事をしている部屋へと向かった。 会長はそんな俺に文句を言わず、ただ好きなようにさせてくれたのでとても嬉しかったので最終的には手を握ってスキップをするように歩いた。 転校生もいるのだと思っていた部屋には王しかおらず、すでに食事の準備も出来ていた。 俺と会長の席が隣り合って準備されており、思わずにやける俺に王は「そんな顔もできるのだな…。」と呟いた。 それを聞いた会長は「知らなかっただろう。」と満足そうに頷いたので俺は首を傾げた。

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