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王道な学園での恋愛-2
寮の会長の部屋に戻った俺は、考えていた通りに会長に作ってもらった朝飯を堪能した。まともな色した食事万歳だ。視覚的にも文句なしにうまい。
そしてその後、休んでいいという会長を振り切り生徒会室に行けば副会長と会計に熱烈な歓迎を受けた。俺に抱き着き喜ぶ二人に俺の居場所は此処にあった。なんて思って少し涙がでた。本当に少し。会長以外にはバレてないから大丈夫。
副会長は俺の為にと毎日おやつを買って待っていたと言い、見た目も美しすぎるケーキを出してくれた。会計は俺の机に棚を作りそこにはゴムで出来たおもちゃの動物園があった。これは果たして俺の為なのか若干迷うとこである。
生徒会室で仕事もせず午前中を過ごした後、昼飯を食べに行こうと食堂へ向かう途中俺に突進してきたのは庶務の双子だった。
俺に抱き着き「わんちゃん!!!」と叫びながら泣いているので、まだ犬が見つかっていないのかもしれない。両手で二人の頭を撫でていると「もう、どっかにいっちゃだめだよ。」だの「家出するなら僕んちにきて。」だのおそらく俺に言っているのであろう言葉が聞き取れた。
これはもしかして…双子の言うわんちゃんとは俺なのだろうか?でも、一回会ったきりだと思っていたのだけど…違ったのだろうか。
離れようとしない二人を会長がべりっと離してくれた。
結局二人も加わり食堂へと行くとそこは当たり前のように学生がたくさんいて、思い思いに食事をしていて、俺が向こうに行く前と変わらず会長たちはキャーキャー言われている風景があって、思わず顔が緩んだ。
食堂のご飯もかわらず美味しくて、午後は生徒会の仕事も少しして以前と変わらない事にとても安心した。いや、生徒会室に庶務がいるとか会計がまじめに仕事をしているとか副会長の機嫌がいいとか前と少し違うとこもあったけど、異世界での生活に比べたらなんの問題もないのだ。
早めに仕事を終わらせ、会長と一緒に会長の部屋に戻った俺はすすめられるまま風呂に入り会長が夕飯の準備をするのを待っていた。
すっかりいつも通りの生活に満足してしまった俺は色々聞き忘れがある事に気づいたのは、満腹なお腹を抱えデザートのプリンはいつ食べようかと悩み始めた時だった。
転校生が購買に売っている1日限定10個のプリンを食べたがっていたことを思い出したからなのは会長に言わないでおこう。
「転校生は…この世界に未練はなかった?」
風呂からあがりスッキリした会長に聞けばプリンを持って来てソファに座る俺の前に腰を下ろした。
「そうだな…そういう事になるな。」
会長の手でプリンを食べさせられそうになり、慌てて会長からプリンを取り上げた。まったく、何考えてるんだ。
「あいつは所謂、愛人の子で親はもちろん祖父母からも親戚の誰からも関心を持たれてなかった…らしい。」
それで構ってほしくて問題起こして、余計厄介者にされて…たどり着いたのがこの学園であの世界だったのか。
「じゃあ、あの世界でなら幸せになれるかもしれないね。」
俺にも彼にもあそこの人は優しかった。話もきちんと聞いてくれた。王も約束してくれた。大丈夫だ。
「あと、会長はどうやってあっちに来たの?巻き込まれたわけじゃないならどうして…。」
何か方法があるのだろうか。それとも何かこの世界にはいたくない理由があったのだろうか。
話したくないのか、俺から食べ終わったプリンの入っていた容器とスプーンを取り上げるとそのまま台所に行ってしまった。逃がすかと着いていく俺を無視して容器とスプーンを洗い、そしてトイレに行き…トイレのドアの前で待つ俺にため息を吐くと俺の腕をつかみ寝室へと向かった。
布団に入れば寝ると思ったら大間違いだ。と布団の上に正座をした俺はじっと会長を見つめ話すのを待った。
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