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第7話
言い終わらないうちに肩をぐっと引き寄せられ、咬みつくようなキスをされた。
「んっ……」
驚いて身じろぐと、嫌だったかと気遣われて、そうではないと言う代わりに今度は自分から口付ける。
一瞬驚いたように硬直した竜次郎が、反撃のように唇を押し付けてきた。
口内に厚い舌が強引に入ってきても、やはり嫌だとも怖いとも思わない。
舌が絡むとびりっとした感覚があって、背筋が慄いて体温が上がった気がした。
「あ……………、」
顔が離れると寂しい感じがして、つい縋るような視線を送ってしまう。
「ったく、お前は……」
何故か途方にくれたようにぼやいた竜次郎は湊の上着を落として、年季の入ったパイプベッドの上に転がすと、片膝を乗り上げてから自らもシャツを脱ぎ捨てた。
もちろん裸の上半身なんて着替える時に何度も見ているけれど、こんな構図で見上げたことはないので、露わになった自分よりもずっと逞しい肉体にどきりとする。
「泣いてもやめてやれねえかもしれねえぞ」
「大丈夫、だと思う……。でも、優しくしてくれたら……嬉しい」
「……あー、努力は、する。お前はあんまり煽るな」
煽るようなことをした覚えはなく、どういうことだろうと思っているとまた唇を塞がれた。
頬から耳、首筋へと唇が辿り、その間思いの外器用な指先は前をはだけていく。
きゅっと露わになった鎖骨に吸い付かれてひくっと息を詰めた。
「ん……りゅ、じろ……、男のひとと、したこと、ある?」
今までした会話の中で、過去に恋人がいたことは知っている。迷いのない手つきなので、どちらも経験があるのだろうかと聞いてみた。
「いや、ねえが。どうすりゃいいのかは知ってる」
ほっとした。湊には、何をされるのかは何となくわかっていても、何をすればいいのかはわからない。
「じゃあ、教えてね。俺も、ちゃんとできるようにするから」
「………お前は、何も考えないで天井のシミでも数えてろ」
「え、何?それが男同士の作法なの?」
天井そんなにシミある?と素直に見上げると、苦笑された。
「黙ってマグロになってりゃいいってことだよ」
「あ、わ、ちょっ……」
ずるっと下着ごとズボンを奪われて、慌ててしまう。反射的に露わになった場所を隠そうと伸ばした手を除けられて、少し反応してしまっている性器を握りこまれて仰け反った。
「だ、だめ、あっ、あ……!」
「お前の声、たまんねえな」
低く、耳元に吹き込まれるのは男の人の声だ。
だけど、怖くなかった。
彼は一方的に欲望をぶつけるような真似はしないと、知っているから。
「んっ、りゅ、りゅうじろ…、あっ!あ……!」
不安のない快感は、容易に湊を解放へと導く。
びく、と痙攣して呆気なくその手を汚した。
「っあ………ぁ……」
快楽ににじむ瞳でぼんやりと見上げると、「早えな」とからかわれて力なく眉を下げる。
「竜次郎の手……きもちい、から……」
もっと続きをして欲しいと譫言のように強請れば、それはすぐに叶えられた。
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