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第7話

「本当なのに」  何が悪いかわからないと言いたげに男は俺を見る。  その目を見たのがまずかった。光彩が不思議な色合いに変化していた。光の反射なのか青にも碧にも見える。くらりと引きこまれる。と思ったらまた体が反応した。  男もそれに気がついた。  嬉しそうに笑って手を伸ばしてくる。 「もうやめろって」 「でも敏明が辛いだろ? 俺もまだ足りない。もう一度出してくれ」  その言い方はどうよ。  そう思ったけれど、また口に含まれて快感が背筋を貫いた。  さっきよりも敏感になった先端を舐められると思わず腰が揺れる。男も余裕が出たのか、細やかな愛撫をしてくる。 「ほら、もう一度出せるだろう?」 「あ、それ、やだッ」  口では何と言おうと体はかつてないほど感じていて、俺は男のくれる快感に酔った。  結局、三度達して俺はぐったりと体を投げ出した。脱力感が半端ない。  正直いってめちゃくちゃよかった。それがいたたまれない。  男は満足そうに俺の髪を撫でて、頬にキスをする。 「おいしかった、ありがとう。生き返った」  礼を言われたが何とも複雑だ。  でも確かに男の体はほかほかと温かく、存在感が増している。 「悪かった、しんどいだろう」 「なんで?」  単純に三回いっただけとは違うだるさだ。 「俺が補給してやれたらいいが、さすがに今は無理だ」 「補給って?」 「性交すれば敏明はもっと早く回復する。今は一方的に搾取されたから体が辛いだろう?」  成功? なんの話だ。  大きなあくびが出た。 「寝ていいぞ。この家はもう安泰だ」  微笑んだ男がまだ何か話していたが、俺はもう目を開けていられなかった。  吸い込まれるような眠りに入ってしまい、この後どうなるかなんて予想もしていなかった。

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