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第9話
僕の舌が彼の先端に迫ると彼は荒い呼吸の合間に抵抗するように僕の額を押した。
「はぁ……、や……めろ、汚ないだろ……う……」
「汚いわけないじゃない。僕にとって最高の食事だよ」
チュゥと先端を吸うと彼は身体を震わせてひときわ高く鳴いた。鈴口から蜜が溢れるのを水音を鳴らしながら舌で舐めとる。彼を追い込むように根元を扱きながら、深く飲み込むとあずま君の抑えきれない声が響いた。
「あっ……だめだ……本当に……ッ、りあむ、も、離せ……ぁぁ」
切なげに声を震わせ、あずま君は背中を仰け反らせて耐えていた。そんなわずかな抵抗もすり潰していくように張り詰めた陰茎を手と舌で吸い付くと、彼はたまらず腰を浮かせた。
「ぁッ、で、出る……ぅ、んんぅッ」
勢いよく吐き出された白濁を口内で受け止める。喉に張り付くようなねっとりとした感触に眉を寄せながらもなんとか飲み込む。青臭い匂いは苦手だが、自分の身体に広がっていく彼の生気が心地よい。一滴も漏らさぬよう喉を鳴らして飲み干すとその度にくすぐったそうなあずま君の声が漏れた。銀の糸を引きながら、ゆっくりと唇を離した。
「……ごちそうさま」
「はぁ……、それが元の体か……?」
僕は自分の両手を見下ろした。立ち上がると視点がさきほどよりさらに頭一つ高くなっているのがわかった。扉の縁にぶつけそうなほどの高さだ。半年ぶりに戻った身長に頰が綻ぶ。
「うん。でも、まだ足りない」
「お前……どこまででかくなる気なんだ」
ここで「お前誰だ」なんて言わないところが、あずま君らしい。
僕は、伸びきり尻に食い込むばかりの、ほとんど下着としての機能を果たしていない布を指でなぞった。はみ出した茂みを手のひらで隠すように覆うと、まだ息の弾んだ彼を見下ろす。
「本当はね、お腹に直接セイキを入れてもらうのが一番いいんだけど……どうする?」
「どうするって……」
「僕、まだイってないないんだけど」
彼の耳元で囁いた声は自分でも驚くぐらい切羽詰まっていた。身体に合わない小さな下着は苦しいぐらい自分自身を締め付けている。期待を込めた視線を送るとあずま君は困ったように笑った。そして座ったまま僕に手を伸ばす。
「りあむ、お前って本当にとんでもない奴だな」
伸ばされた手が背中に回ったかと思うと、身体を引かれてソファに押し倒された。彼の頭越しに天井が見える。あずま君は少し強がったような笑顔を見せた。
「後悔してもしらないぞ」
僕が頷くと、ぎこちないキスをしてくれた。
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