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Ⅱ 空の灯した最期の光①
翻弄されてる。
こんなんでやってけるかな?
手を伸ばせばお前に届く。
そんな気持ちになった。
蒼穹は高くて……
お前と同じ羽の色をした空は、どこまでも高くて
だけど、今なら
届く気がするよ。
お前の空に。
お前と同じ空の色に。
手を伸ばしていいんだ。
掌に風が吹いた。
感じる。
風の匂いも、空の奏でる光の色も……
生まれて初めてだよ。
こんなにも、誰かを
人を
お前を求めるのは……
お前だから。
欲しいと願う。
お前の幸せを。
お前の幸せの中に、俺も一緒にいたいな。
小さな中庭で、お前の幸せを願う。
穏やかに過ぎていく時の中で、お前を。
お前の事ばかり考えてるよ。
敵国の皇太子で。
お前は国を奪った次期皇帝。
わかっている。
理解している。
でも……
気持ちに嘘はつけない。
空が輝いた。
雲が光る。
閃光が突き抜ける。
あれは………
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