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Ⅱ 空が灯した最期の光②
吹き飛ぶ。
景色が、目の前が、世界が、鳥が、樹が。
何が起こった?
「昴!」
真っ黒に吹き荒ぶ煙の中で受け止めてくれたのは、白銀の両腕……
「昴!昴!」
何度も何度も呼んでくれる。
あ、そっか……俺の名前、昴なんだ。
「君は私が護る。安心するんだよ」
「ねぇ、なにが起こったの」
声は爆風に掻き消える。
「グラン…ツ……」
「その名を呼ぶなッ」
非常事態警報が響き渡る。
なぜ?
お前は俺の名を呼んでくれたのに、俺はお前の名を呼んじゃいけないんだ。
「婚約は解消だ」
「どうしてっ」
俺の事が嫌いになったのか?
それとも、最初から俺を利用しただけだったのか。
単なる気紛れで、遊び?
「我が君。あなたをお護りいたします。この命に代えて」
「違う!」
そんな事を聞いてるんじゃない。
俺は、騎士を望んでなんかない!
俺は、お前に……
「所詮、君は敵国の皇太子だ」
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