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Ⅱ 空が灯した最期の光③
どうしてッ
「君を愛しちゃいない。しかし騎士の契約は絶対だ」
「何を言ってるッ、意味が分からない!」
「意味なんて考える必要ない。これは戦争だ」
この爆風も
空を汚した黒煙も
破壊の共鳴も
光の交錯も
全部すべて
「核を撃ってきた」
亡命した君の兄は……
国を取り戻すべく。
祖国に核の雨を降らせたんだ。
この国は再び核に焼かれる。
一握りの人間の欲望によって……
核が落ちる。
ぎゅっと握りしめられた手が痛かった。
あんなに傷つけない。
……そう言った俺の手を、ぎゅっと握り潰しそうなくらい
ぎゅうっと握りしめている。
「君は生きろ。君は生きなければならない」
「嫌だッ」
「嫌だじゃない」
「お前の命令だからか」
「私の願いだからだ!」
黒煙が駈けた。
「我が国の防衛システムは優秀だ。《ヒンメル》が迎撃している。君の祖国に核を落とさせはしないさ」
俺は無力だ。
止められない。
どうして………
争うのだろう。
この世界から争いが絶えないのだろう。
なにが欲しいの?
どれだけ奪えばいいの?
「奪わせないよ、君の未来は」
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