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第2話

 次の日、恋人に呼び出された。  人気の少ない、昨日の浮気現場であるあの空き教室に。 「なあ、お前やっぱ昨日のアレ見たんだろ?」 「あ、あれとは…」 「恍けるのか?お前昨日この空き教室の前を走ってたじゃん」 「人違いでは…?」 「2年も付き合ってるのに間違うわけないだろ」  諸々の事情がなければ確実にときめいていたであろうセリフ。  しかし、最早浮気を隠す気のないこの男が言っても「何言ってんだ」くらいにしか思わない。それどころか怒りが湧いてきた。  昨日家に帰って自室に引きこもったあとよく考えたのだ。  今まで現実を見ないように、深く考えないようにしてた。でも、あんな決定的瞬間を見てしまったらそうせざるを得ない。  ショックどころか百年の恋も冷めるわ。 「ねぇ、別れよう?」  僕が彼に向かってそう言うと、彼はニコリと笑って_____

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