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7.欲しくてたまらないもの -5

祐仁は再び指を引き抜いていく。 すると、今度は抜けだすことなく、奥へと逆行してきた。 指先がぐりっとそこを刺激すると、また颯天は噴いてしまう。 そうして祐仁は引き抜いては奥を侵すという抽送を始めた。 ああっ、ああっ、ああっ……。 指が弱点に到達するたびに颯天は喘ぎ、それと競演するように淫水を噴いた。 次第に躰は力尽きていき、腰が抜けた感覚がして臀部だけ高く上げたまま、颯天はベッドに突っ伏した。 自分が濡らしたのだろう、頬の下のシーツが濡れている。 反対側の頬は手のひらで包まれた。 「颯天、侵すぞ」 返事をする間もなく、祐仁の手が頬から離れていく。 ベッドが揺れたかと思うと、キュッとひねる音、コトッと物を置く音が続く。 性具を使うときの潤滑剤(ローション)だろう、少しの間を置いて腰がつかまれる。 後孔に硬いものが押しつけられた。 ノックするように軽く何度もつつかれ、やがて押しつけるようになり、まもなく先端が(あな)に潜りこむ。 脱力した颯天は陶酔するような心地よさしか感じなかった。 祐仁はすぐに奥を侵すことなく、様子を窺うように少し穿(うが)っては出ていくことを繰り返す。 祐仁の与えるものすべてが快感となり、快感に打ちふるえる颯天のそこは弛緩している。 さらに祐仁が腰を押しつけても、颯天は拡張される痛みを感じなかった。 ぬぷっと粘り気のある音を立ててくびれた部分が颯天の中におさまる。 奥まで貫かれるだろうと覚悟したはずも、颯天の虚を突いて祐仁は腰を引く。 颯天の中から抜けだしたかと思うと、間髪を容れず、また祐仁は先端を埋めてくる。 その繰り返しは颯天を再び快楽の果てへと追いつめていく。 ふはぁっ、はっ、はっ、はっ……。 閉じたり開いたり、後孔が絶えず刺激されて、颯天はだらしなく口から(よだれ)をこぼす。 与えられる快楽以外のことを考えられなくなった。 「ゆ、じんっ、ふ、あっ、ああっ……」 「くっ……気持ち、いいか」 祐仁もまた快楽に顔をしかめ、たまらず呻くが、颯天には気づく余裕がない。 「ぅくっ……おかしく、な、るっ……ふ、はあっ」 後孔は祐仁のオスを捕らえようとうごめくが、無理やり引き抜かれて空虚さにひくひくとした疼きが止められず、颯天は腰を揺する。 そうして、祐仁がまた入ってきた瞬間、それを待ちかまえていた腸道が祐仁のオスを捕らえ、絡みつくようにしながら奥へと引きこんでいった。 「颯天っ」 祐仁のうわずった声が背中に落ちてくる。 (くい)のように硬くなった祐仁のモノは、打ったばかりの鉄のように熱い。 それが隘路(あいろ)をいっぱいに満たしながら体内の奥深くを侵してくる。 自ずと粘膜を擦られ、その(かゆ)みに似た刺激がたまらなかった。 「あ、あっ、祐じ……だめだっ、あ、あ、あ……おかし……っいんだっ……助けて、くれっ」 「颯天、おまえが、やってる……っ……こと、だろうがっ。くっ……おまえの中は……おれを捕らえて、放さない。……っ」 祐仁はいまにも爆ぜそうになり、歯を喰い縛りながら、行くぞ、と颯天の双丘をつかむ。 絡めとる肉襞(にくひだ)に逆らうように祐仁は腰を引いた。 ああああっ。 痛みなどなく、あるのは何もかもどうでもよくなるような性感の極みだった。 触られてもいない颯天のオスが、これ以上にないほど太く滾っている。 祐仁はぎりぎりまでオスを引くと、次の瞬間、重量を伴って深く抉った。 そして、弱点が擦られるともう颯天の限界は見えてきた。 祐仁は(うな)り声を発しながら律動を繰りだす。 颯天の後孔はぐちゅぐちゅとまるで粘液が溢れているかのような音がひどくなり、そして腰が抜けた脱力感のなかでも、双丘は意思を持ったようにびくびくとしたふるえが止まらない。 嬌声を放つ力もなく、颯天は片方の頬をシーツに付けたまま口の端から唾液を垂らしながら喘ぐ。 涙腺は緩み、そして覚醒したままのオスはうれし涙のように蜜をこぼしてしまう。 「ゆうじんっ、も……だめだ……」 「おれも、中に出すぞ」 云いながら、祐仁はずるりと抜けだした。 あ、あ、あ、あ、あああっ。 排出の快感に襲われ、颯天の躰に痙攣が走る。 おさまりきれないうちに、後孔が再び押し広げられ、祐仁は質量を見せつけるようにぐっと貫いてきた。 そうして弱点に集中し、オスがうごめいた。 快感の上に快感が集い、意識が飛びそうな快楽が押し寄せてくる。 「あっ、い、や、だっ」 気絶しそうな怖さゆえに、拒絶の言葉が颯天の口をついて出る。 それでいながら、快楽を貪るように粘膜は祐仁に纏いつく。 腰が(みだ)らにうねり、颯天は自分の躰なのに止められなかった。 「あ、もぅ……逝、く……ぅっ……」 あまりの陶酔感に声は詰まり、颯天は脳内からすべてが融けだしていくような感覚のなかに放りだされた。 何度も精を放ちながら、その自らの性反応が快感に上乗せされる。 そして、祐仁が呻き声を発した直後、体内に火傷しそうなほどの熱が放たれ、快楽が飽和した。 意識がなくなる寸前、祐仁は躰を繋いだまま、颯天を背後から抱きとるようにして横たわると―― おまえはおれのものだ。放さない。だれにも渡さない。 そんな囁き声が聞こえ、颯天は安心しきって眠りにゆだねた。

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