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第9話
そうして家にあがった僕たち四人ーー暁さんはいなかったーーは、リビングでケーキと紅茶を楽しんだ。
ロボットの僕は味や香りが分かって感動する。すごい、すごいぞ!効果抜群だ!蒼真さんの視線をまた感じるけど、気にしないぞ!てか何で見てくるの?やめて!
それから一息つくと母親は淳治さんに、僕は蒼真さんにそれぞれ自室に案内される流れになった。僕は階段を上る蒼真さんの後ろをてくてく付いていく。
さっきは気付かなかったけど玄関は吹き抜けになっていて、僕は『すごいなー』と天井を見ながら上っていた。
のがいけなかった。
注意の怠った足が階段を踏み外し、僕の体は後方に傾いていく。
驚きはしたけど声は出なかった。ああ、落ちちゃうな。そう思った。
「危ない!」
その瞬間、右腕を掴まれて凄い力で引っ張られる。そして暖かいものに包まれた。
目をぱちくりさせた僕の眼前には蒼真さんの胸元。状況を把握した僕はぎょっとする。
僕、蒼真さんに抱きしめられてる……!
助けてくれたのは分かってるけど僕はビックリして体を離そうとする。しかし、僕の背中と腰に回っている蒼真さん腕の力が何故か強くなった。「ダメだよ」と耳元で囁かれる。
「……離したくない」
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