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第10話
は?
離したく、ない?
今……蒼真さん、そう言った?なんか日本語おかしくないか?聞き間違い……?
僕が困惑していると、パッと蒼真さんは僕を解放した。「危なかったね」と人好きのする爽やかな笑みを浮かべる。
「聖くんが軽くて良かったよ。どこも痛いところはない?」
あれ?やっぱり聞き間違いだったかな?僕は「は、はい。ありがとうございます」と瞬きをする。「行こうか」と言う蒼真さんの後を戸惑いつつも追った。今度は足元に気を付けて。
二階には幾つかのドアがあり、僕は丁度真ん中の部屋に通される。前をいく蒼真さんは振り返った。
「ここが聖くんの部屋だよ。右隣は僕の部屋だから、何かあったらすぐに声を掛けてね。何もなくてもいつでも遊びに来て」
いや、蒼真さんは確か今年受験生だろう。遊びに行ったら迷惑だ。行こうとは思わないけど……まあ、社交辞令ってやつだな、うん。
僕は勝手に納得をして礼を言う。そして、ふと気付いた。
右隣が蒼真さんの部屋なら、左隣は?物置かな?
不思議に思って訊ねると蒼真さんは顔を曇らせる。え、何だろう……?
「そっちは……暁の部屋だよ」
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