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第13話

性格は正反対だけど、僕と弟の暁は好みのタイプが似ているんだ。彼女を寝取られた事も一度や二度じゃない。 僕が男の子を好きになったのは初めてだけど、もしかしたら暁もーーー 拳を握る。心の底から嫌だと思った。暁に聖くんを奪われたくない。 そうなるくらいなら、その前に…… 「……ん……」 その時、聖くんが身じろいだ。 あ、起きちゃうかな。もっと寝顔を見ていたかったけど……仕方ないか。 *** あれ……寝ちゃってた……とぼんやり目を開けた僕は跳ね起きた。 何故か僕の部屋に蒼真さんが居たからだ。ロボットモードになる暇もなく「えっ!?な、っえ!?」と僕は素で驚く。思わず傍の枕を抱きしめた。 何でここに居るの!?まさか……殴られる? 怖い、怖い、怖いーーー だけど蒼真さんは「ごめん!そんな驚かせるつもりは無かったんだ」と僕を宥めた。顔を枕に埋めて震える僕の頭に手を乗せ、優しく撫でる。 僕は枕に顔を押し当てたままびっくりした。頭を人に撫でられるなんて初めての事だった。温かくて、何だか胸が熱くなって、鼻がツンとして泣けてくる。ぽろぽろと零れる涙が枕に吸収されていった。 枕があって良かった。泣き顔を見られたくない。泣いてるのはバレバレだろうけど…… 「聖くん……大丈夫?怖い夢でも見たの?」 蒼真さんは、決して嗤わなかった。それに僕は、また涙が溢れて嗚咽した。

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