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第15話
僕の頭の中では『家にいる人イコール殴る人』というイメージがこびりついていた。
でも……蒼真さんは違うみたいだ。現に僕はこれまでに殴られてない。淳治さんにも。
僕は心が少し軽くなった。全身の力が抜けて、晩御飯もーー僕たちが来た日ということで豪勢だったーー上手く乗り切った。ちょっとロボットの力は借りたけど。
お風呂に入って、寝る前。僕は隣に蒼真さんが居ると思うと心強くて、くすぐったい気持ちになっていた。
この気持ちは何だろう。でも、とりあえず不快じゃない。
僕はこんなに安心して家で眠るのは初めてだった。純粋に嬉しかった。
だからーーちょっと忘れていたんだ。彼の存在を。
深夜、ふと僕は目が覚めた。
喉が渇いてしまったからだ。もそもそとベッドから降りて部屋を出る。寝静まった家の中、物音を立てないように一階に向かいリビングに入った。
まだ全然慣れていないこの家の灯りを何とか点けて、コップに水を入れようとした、まさにその時。
「あ?誰かと思ったらゲロ野郎じゃねえか」
リビングの扉が突然開いて、横暴な声が僕の鼓膜を叩く。いつかは聞かなきゃならない声だったけど、なるべくなら今は聞きたくなかった。
暁さんだ。
暁さんはこの間のように、不機嫌そうに入り口に立っている。僕は必死にロボットモードを発動させた。落ち着け、落ち着けーーー出来る。
僕は深く息を吸って頭を下げた。
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