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第17話
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ゲロ野郎の名前は椎名 聖つった。ああ、もう俺と同じ朝比奈か。
ジジイがどっかのババアと再婚するっつう話は全く興味なかった。が、こいつーー聖は別だ。
レストランで初めて見た時から気に入った。性別とかどうでも良くなるくらい、とにかく外見が好みだった。
が、蒼真なんざと目が合って恥ずかしそうにしやがって。舌打ちしてやったらビビってフォークとナイフを落としやがった。どんくせぇ奴。
だから、ビビりっつうことは知ってたんだがーー
ーーこれはちょっと……異常じゃね?
「や、いや……ごめ、なさい……ごめ……」
色白の顔を益々白くして、うわ言のように聖は繰り返し謝る。
目に涙を一杯に溜め、震え、怯えるその姿はサドな俺の加虐心を煽った。「へえ……」と口角を上げる。
「お前……苛められてた系?それとも虐待?」
聖はビクッと全身を揺らすと「ごめんなさい……っ!お願い、殴らないで……っ」と涙を流しながら懇願した。どっちか、もしくは両方当たりらしい。
ドクッと俺の下半身が疼く。ちらりと覗く聖の赤い舌に吸い付きたくなる。
あーヤベ、こいつ……すげぇクる。
うっすらと開いた聖の唇に俺のそれを寄せようとした。
だが、その瞬間。
「聖くん!」
リビングのドアの方から鋭い声が飛んでくる。
チッ……うるせぇ奴が来やがった。
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