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第18話
頬を叩かれるような必死の声に、恐怖に囚われていた僕は我に返った。すうっと五感が戻ってくる。
涙で歪む視界に蒼真さんが映り込んだ。暁さんが僕の直ぐ面前で例の如く舌打ちをする。リビングの入り口に立つ蒼真さんは、そんな暁さんを怒りの籠った目で睨み付けた。
僕はびっくりした。何故か険悪な二人にオロオロする。自然と涙も引っ込んでいった。
「暁……お前……!」
蒼真さんの怒気を孕んだ声。しかし暁さんは怯む事なく「……ふーん」と冷めた目をする。値踏みするように蒼真さんを見ると不敵に口角を上げた。
「俺たち……本当に似てんな」
え?
僕はぽかんとする。
蒼真さんと暁さん……似てるかな?どちらもカッコいい顔立ちだけどベクトルが違うというか……とにかく全然似てないよね……?声も性格も違うし……
混乱する僕を余所に、二人は会話を続ける。
「今回も俺に譲ってくれるだろ?オニーチャン」
「悪いが出来ない。聖くんは絶対にお前に渡さない。いや、誰にもだ」
えっ僕?
急に自分の名前が出て僕は困惑する。話が見えない。僕、なんかしたかな……
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