21 / 24

第21話

誤解が無いよう追記すると、僕は同性愛が気持ち悪いと言っている訳じゃない。 好き、好かれる。恋とか愛とか、美しいと思う。でもその対象が自分となると……何故か物凄い嫌悪感を覚えた。鳥肌が立つくらいに。 『色んなもん垂れ流して……きったねーなお前』 『きめぇんだよ、あっちいけ』 ーーそうだ…… そうだ。僕が汚くて、きもいからだ。そんな僕は綺麗な恋愛に関わっちゃいけないんだ。 僕は毎日が死と隣り合わせで、誰かを好きになった事も好かれる事もなくて……とにかく今まで縁が無くて。好きとかいう感情が分からない。 でも、それで。それで、良いんだ。 「む、無理、です……」 僕は絞り出すように言った。二人の顔は見なかった。俯いて、続けた。がんばれ、がんばれ僕。 「僕は恋愛とか、分かりません……お二人の気持ちには、応えられません……」 沈黙が流れる。 それに耐えられなくて「すみませんっ」とリビングを走って出た。階段を駆け上がって自室に入るとベッドに飛び込む。現実逃避をするように耳を塞いで目をきつく閉じた。 どうしてこうなったんだろう。 疲れた。何も聞きたくないし見たくない。 僕は一晩中、そうしていた。

ともだちにシェアしよう!