23 / 24

第23話

「聖くんは朝ごはんパン派?」 「あ、えと、特に決めてないです……」 そんな会話をしながら一階に一緒に降りていく。 うん。普通。普通だ。 リビングに入ってからも蒼真さんは普通だった。オムレツやクロワッサン、野菜たっぷりのミネストローネが並べられているテーブルに僕を誘導するとオレンジジュースを持ってきてくれた。僕は恐縮しっぱなしでお礼を言う。 ……うん、やっぱり夢だったんだな。めちゃくちゃ恥ずかしい。自分で穴を掘って自ら埋まりたい。 「…?蒼真さんは……食べないんですか?」 密かに心中で悶えている僕だったが、椅子に座ってふと気付く。僕の目の前には朝食が用意されてあるけど、真向かいに座った蒼真さんの前には無い。疑問に思い訊くと蒼真さんはニコニコして言った。 「僕はもう済ませたんだ。気にせず食べて」 「は、はあ……」 …………………あれ? なら、どうして蒼真さんは僕の前に座ったの? テレビを観るならまだ分かるけどそんな様子もないし……んん?? うつむき加減だった僕は、改めて蒼真さんの顔を見てドキッとする。にわかに緊張し喉を鳴らした。 僕をーーー見てる。

ともだちにシェアしよう!