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第11話
二週間などあっという間に経ち、今日は高科さんとお出かけをする日だ。約束した時間よりもずいぶんと早く起き上がった僕は、クローゼットと鏡の前を行ったり来たりしていた。ああでもない、こうでもない、と言いながら必死でファッション誌を見て研究した服のように手持ちをコーディネートする。髪はどうしようもないので、ちょっとだけで長くなってきていた前髪あたりを買ってきた黒のヘアピンでボリュームを抑えつつ綺麗に留めてセットする。残念ながら、弟と顔は似ていても体格が違うので服は参考にならない。
「ああもう!! どうしよう……」
同じような色合いの、似たようなデザインのものしか持っていない僕は、黒のスキニーパンツに上は仕事でも使っているシャツとおしゃれ用のカーディガンを合わせるだけしかできない。こんなことなら、もう少しファッションを勉強しておけばよかったと後悔するも、今から買いに走るわけにはいかないので、そのまま仕事用ではない靴を履いて外へ出る。
彼は車で迎えに来てくれると言っていたので、近くのコンビニを待ち合わせ場所に選んでいる。少し早めに出て、コンビニで飲み物を買い、駐車場で待つ。するとすぐに来たので、買った飲み物を渡して、車に乗せてもらう。車は、とても高そうなものだった。
「おはよう、凛」
「おはようございます、雅人さん」
「コーヒーありがとう。今日はどこに行きたいとかある?」
「その、ウィンドウショッピングが、したいです……」
いつもスーツしか見たことがない高科さんの服装は、とても一言では言い表せないほどによく似合っていてカッコよかった。僕が隣に並ぶのが烏滸がましいレベルだ。
「あ、あの、よ、よかったら……、その、服を選んでほしくて……。僕は、ファッションに疎いので……、自分じゃ何を選べばいいのか、わからなくて……」
尻すぼみになりながら理由を重ねて言えば、彼はいいよと言ってくれた。鮮やかな手つきで車を運転する彼にドキドキと鼓動が高鳴る。カッコいい、触れてもらいたい、僕を愛してほしい。ああ、僕は何を考えているのだと頭 を振って考えていたことを追い出す。
「さ、着いたよ。俺としてはここがおすすめかな」
「あ、ここって最近リニューアルした……」
「そうそう。新しくなった複合施設だね、ここならいろいろ見られるかなって」
「あ、ありがとうございます……」
ゆっくりと話をしながらやってきた場所は、最近リニューアルオープンした複合施設。映画館やスーパーからファッション系列、アクセサリーショップなど様々なお店が入っているところだ。メンズファッションだけでも十店舗以上は入っていると言われている、僕も聞いたことだけあった場所。
「そうだね、凛は中世的な顔立ちをしているから…………。うん、あえてジェンダーレスな感じで攻めてもいいかもね」
「性別を感じさせない、ようにですか?」
「そう、ゴリゴリに男って見せなくても凛に合うと思うんだ」
そう言われて連れてこられたお店で、いくつか見繕ってくれる。
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