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番外編 1-2

「めんどうくさいな……。パスタでいいや」 お昼の支度をすると言っても、自分の分だけしか必要がなかったので、パスタにすることにした。それもレンジでパスタをゆでる。そしてフライパンで作ったソースの中にレンジでチンした麺を投入、そのままその中で混ぜて完成だ。お皿も出さずに、行儀が悪いと分かっていながらそのままフライパンで食べる。しかもフォークじゃなくてお箸だ。こんな姿、誰にも見せられないなぁと思いつつ、麺を口の中に放り込んでいく。 「んぐっ」 スマホをつつきながら、食べ進めていると突然、電話が来た。その電話は、優で一体何事かと思う。さっきまで電話していたのだから、急に進展があることは少ないだろう。 「はい、もしもし」 『凛~!! 俺、凛の思ってたことを自分なりに解釈して、今俺が思ってることも全部伝えてきた!!』 「うん、優は行動が早いね」 『やっぱりさ、凛の言う通り、言葉はちゃんと伝えなきゃって思ったから』 「そっか……」 『俺ね、実は母さんに言われてたんだ』  そこで聞かされたのは、やはり両親は子どもである僕たちのことを本当の意味で愛していたわけじゃないことを知ったことだった。 『俺、自分が好きでもないオメガと番わされるって実際に聞くまで、信じられなくて……。でも、それだけじゃないんだ。俺の意志なんて何にも聞かないでお見合いばかり仕組んで……。こんなこと、今までなかったから初めて反抗したんだ……』 「ねぇ、優。優のしたことは何にも間違っていないよ。誰だって自分のことを無視して何かをされるのは腹が立つものだ。それも一生を添い遂げるかもしれない伴侶まで勝手に選ばれたら、たまったもんじゃないよ」 『俺……、愛されてるって、おもってたのに……』 優は、泣いていた。僕が受けた苦しみを優は今、受けている。痛くて辛い、苦しい、悲しい、そう言った負の感情がダイレクトに伝わってくる。双子ゆえの神秘なのか、電話で話をしているから引きずられたのかはわからないけど、どうして、という怒りさえも見えてくる。  優が泣き止むまでずっと優を慰めていた。弟の優が泣くことは本当に少なくて、僕自身、大きくなって優を慰める日が来るとは思っていなかった。小さい頃はお互いに泣いたりもしたけど、大きくなってからはお互いに避け方が上手になったからなのか、泣くことは少なかった。 「優、そういえば思い人とはどうなったの?」 『その、急に恋人らしいことはできないかもしれないけどって言われたけど、オッケーもらえた!!』 「よかったね、優」 『うん!! それでね、凛にも会いたいって言ってた』 「そうなの? わかった、休みの日ならいつでもいいよ」 『ありがとう!! 伝えておく!!』

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