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番外編 1-4

 僕はすぐに雅人さんにメッセージを打った。僕は休みだけど、雅人さんはお仕事だからおいそれとは電話を掛けられない。雅人さんにはいつでも掛けてくれて構わない、と言われてはいるもののさすがにそこまで甘えられない。 『凛、さっきの話は本当なのか?』 「あ、ま、雅人さん!! はい、優が腹を立てて反抗したと言っていました」 『優君を、保護するように動くから、凛は優君に伝えてくれるかな。それからきちんと会う日取りを決めよう』 「はい」 手短な電話だったけど、雅人さんは動いてくれると言ってくれた。僕も何かができるはずだ、動かなくちゃ。 『あれ、凛から電話なんて珍しいね。俺たちさっき電話したばっかりだけどさ、どうしたの?』 「優、今すぐ大学に確認を取ってほしいんだけど……」 『え、うん? うん……、わかった』 優は珍しそうに僕からの電話を取った。優も今日は休みだと聞いていたので、今はもしかしたら思い人と一緒にいるのかもしれない。それでも僕は言わなくちゃいけない。その電話で僕の推測でしかない話を伝えて、念のため、確認を取るように促した。 『凛が、そこまで言うのなら、俺は信じる。だって、俺は覚えてるよ。凛が俺を守ろうとしてくれたこと。凛はいつだって、俺のお兄ちゃんだよ』 「優……」 『凛が、俺と複雑な気持ちで接していたのは知ってたよ。だって俺たち双子じゃん。凛の気持ちは俺にダイレクトに伝わってくるよ。だけど、俺にとって凛は特別な半身。俺たちは血を分け合って生まれたんだもん。凛はバース性を超える特別なんだよ。あ、もちろん家族としてね!!』 「ありっ、がと……、ごめん、すぐ、る……」 『んーん、俺は大人じゃないから、凛をいっぱい困らせちゃったこともあると思う。でも、俺にとって凛はたった一人の家族だよ』 「うん」 さっきとは逆の立場になった僕たち。優に慰められるのも、いつぶりだろうか。あふれ出る涙を袖で拭い、優に確認事項だけを伝えて電話を切る。そしてスケジュール帳を開き、自分の休みを確認し、優と雅人さんと僕の休みが被っている日を探す。 「あ、よかった、直近にある」 僕はその休みを雅人さんに伝えるべく、メッセージを送り全員の休みが被っている日を伝えた。僕の推測が正しければ、優に今までかけたお金をあの人たちは返せというはずだ。実際、僕の時もそうだった。あの人たちは、僕を養育した時にかかったお金を返せと言った。僕は高校の時からアルバイトをしていたからお小遣いは自分で賄っていたし、大学まですべて国公立の学校へ通ったから私立ほどお金はかかっていない。それは優も同じだ。 「よし、これでなんとかなりそう」 スマホのカバーを閉じて、目を瞑った。優も、国立のあの大学に行きなさいと、言われていたのを思い出す。その言葉は優しかったけど、たしかに強制する声音。優の受けた強いプレッシャーに心が痛む。

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