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第2話
車で本家まで行き、まずは幹部室に向かう。
そこにはまだ誰も居なかった。
「皆居ないね。俺がハル君の所行ったら、命は寂しくなる?」
思わずクスクス笑ってしまう。
ユキの頭を撫でると、不思議そうな表情をして俺を見上げた。
「大丈夫だよ。行っておいで。」
「本当?寂しくない?」
「うん。どうせすぐに皆来るし。……あ、場所わかるか?」
「わかるよ」
俺の真似をして、昔は自分の事を『僕』と言っていたのに『俺』と言うようになった。
けれど話し方は昔のままだから、少し違和感もある。
ユキを送り出して、一人になった幹部室で椅子に座って深く息を吐く。
これからやることを考え出していると、ドアが開いて早河がやって来た。
「おはよう。今日はユキ君がくるんじゃなかったか?」
「おはよ。もう来てるよ。今は若の所」
「そうか。八田と中尾は?」
「まだ来てないと思う」
スマートフォンを弄りながら返事をしていると、手に持っていたそれが震える。
親父からの電話で急いで出るとこれから出掛けるからついてこいという内容だった。
「親父と出てくる。」
「他にも連れて行けよ」
「ああ」
部屋を出るとすぐに葉月を見つけ、引き連れて親父の元に向かう。
「何ですか、どこに行くんですか。」
「親父のところ。出掛けるらしいからついてこい」
「え、何も準備できてないんですけど!命さん!」
親父の部屋の前につき漸く静かになった葉月から手を離す。
声を掛けて中に入ると、親父はスーツを着て煙草を吸っていた。
「昴から連絡が入った。中尾はいるか?」
「いえ、まだ来てません。」
「またあいつは……。早河に中尾が来たら連絡するように伝えてくれ。」
返事をしてスマートフォンで早河にメッセージを送った。
葉月に車を持ってこさせ、親父の弟である昴さんの家に向かう。
「悪いな。今日はユキが来てたんだろ。」
「いえ。若と話をするって言っていたので。」
「赤石も来るとか言っていたな。」
なるべく早く帰ろうと話をして暫く経ち、昴さんの家に着いた。
「命と葉月は車で待機。すぐに終わらせる」
「わかりました」
昴さんは少しだけ家から顔を出し、俺と葉月は軽く頭を下げた。
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