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第3話

親父は三十分も経たずとして険しい表情で帰ってきた。 待っている間に中尾がやって来たと早河から連絡があったことを伝えると、表情を変えずに頷いた。 本家に戻り、車から降りるときに中尾を部屋に呼ぶように言われ、幹部室に戻ってすぐに中尾にそれを伝える。 「え、もう、またー?俺、華さんに呼ばれて今さっきやっと帰ってきたところよ?」 「知らねえよ。早く行け」 「……はいはい」 寝転んでいたソファーから起き上がり、幹部室を出て行く。 早河はパソコンを睨みつけ、八田は資料をペラペラと読んでいる。 「昴さん、何だったんだ?」 「知らない。俺達は車で待機だったし、昴さんの顔もチラッとしか見れてない。」 パソコンから目を離した早河が、珈琲を一口飲む。 俺も自分の珈琲を用意して、椅子に座りながらそれを飲んだ。 「そういう時は大抵良くない時だろ。昴さんはどこからか情報を仕入れては親父に伝えてる。」 「ああ。親父は確信が無いからまだ俺達に伝えないんだろうな。」 何も起こらなければいいんだが……。 カップの中で揺れる黒色の液体を眺めながら思う。 「──入るぞ」 突然外から声が掛かり、部屋のドアが開く。 そこには若と陽和さんにユキが立っていて、慌てて立ち上がり頭を下げた。 「お疲れ様です。」 「お疲れ。命、俺はお前に言わないといけないことがある。」 若に突然指を指され、戸惑いながら頷く。 ユキはオロオロとしていて、何だろうと眉を寄せた。 「ユキが──……」 「若ぁ!」 若が何かを言おうとした瞬間、大声で叫びながら部屋に入ってきたそいつ。 「あ、赤石さん!」 「あれ、ユキ君?あらあらこんなに綺麗になっちゃって!っていうか今話の途中だった?ごめんね!気にせず続きをどうぞ!」 突然現れ、マシンガントークを繰り広げる金髪。 久しぶりに見たけれど何一つ変わっていない。 「赤石、少し静かにしてくれ。俺は命に伝えたいことがあるんだ。」 「わかってますってば!でもその前に……陽和君も久しぶりだね。元気だった?」 若は遂に頭を抱え、ソファーに座って項垂れてしまった。

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