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第4話

若が項垂れている隣にユキがそっと座る。 「ハル君、ごめんね。お話の途中なのに」 「ユキのせいじゃねえだろ。」 若に頭を撫でられ、嬉しそうにするユキが可愛い。 二人を見ていると本物の兄弟のようだ。 「で、命。お前ユキを外に出さねえみたいだな。」 突然若にそう言われ、視線を逸らす。 だって仕方がないだろう。こんなに綺麗に育ってしまったんだ。外に出せば危険な事が山程ある。 「え、ユキ君外に出てないの!?」 「赤石、お前はうるさい。」 うるさいのが話に入ってきてややこしくなりそうな予感しかしない。 「ユキが大切なのはわかるけど、いつまでもそうしてちゃいられないだろ。」 「……はい」 「まずは買い物を頼んでみるとか、ちょっとずつリハビリをしていけ。お前自身のな」 渋々頷いて、ユキを見る。 「ユキは外に出たい?」 「えっと……お出かけはしたいけど、一人はちょっとだけ、怖い。」 「買い物行くの、頑張れる?」 「……が、頑張る……」 決意したように首を縦に振るユキ。 無理はさせたくない。 俺が過保護すぎるのかもしれないけれど、ユキ相手にはまだまだ足りないとすら思う。 なぜなら、最近一緒にショッピングモールに出掛けて、とある物に夢中になった俺はついユキから目を離してしまった。 気付いた時には時すでに遅く、周りにユキの姿は無くて、探し回っていると、とある男性に名刺を渡されているユキを見つけた。 慌てて駆け寄れば、芸能事務所からのスカウトで、ユキは丁寧に断っているのに優秀であろうスカウトマンは諦めずに口説き落とそうとしていた。 その時はユキを連れて逃げ出したからよかったけれど、そんな事は今までに一度や二度じゃない。 時には女に追いかけられる事もしばしばあって、それなのに一人で外出させるのは不安でしかない。 「たまには俺とも遊ぼうよ。陽和君だってユキ君と遊びたいって」 「ヒヨ君、本当?」 「うん!ユキ君とお出かけしたいな。」 陽和さんは柔らかく微笑み、ユキは嬉しそうに笑っている。

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