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第10話

お昼ご飯を食べて、二時頃に動くことにした。 スマートフォンを壁に立て掛けてレシピを開ける。 まずは玉ねぎをみじん切りにする。 玉ねぎの皮をむいてまな板の上に置く。教えてもらったことのあるみじん切りをしていくけど、目が痛くて涙が止まらない。 「うっ、う……痛いぃ……」 切ったそれをフライパンに入れて炒める。これがまた痛い。 止まらない涙を服の袖で何度も拭いて、何とか作業を続けると漸くハンバーグの形ができた。 後はこれを焼くだけ。 思っていた以上に時間がかかって、もう四時。 慌てて手を洗い洗濯物を取り込んで畳んだ。 お風呂を洗い、お風呂の予約ボタンを押して八時には沸くように設定する。 四時半を過ぎて少し休憩しようとテレビをつけ、ソファーに座ると、膝にシロくんが乗ってきた。 優しく撫でながら、ぼんやりしていると眠たくて、頭がカクカクしてしまう。 ちょっとだけお昼寝しようかな。 テレビを消してソファーに横になる。 命が帰ってくるまでに起きて、ハンバーグを焼いて…… そう思っているうちに瞼は落ちて、深い眠りに入ってしまった。 *** ユサユサと肩を揺らされる。 目を開けると命が居て、慌てて飛び起きた。 「何でっ!?」 「何が?ただいま」 「何でいるのっ!?」 時計を見るともう六時を指していた。 少し寝るつもりが、長い間眠ってしまっていたみたい。 それにびっくりして急いでキッチンに行きハンバーグを焼く。 命が後ろを着いてきて、フライパンの中を覗き込んだ。 「ハンバーグじゃん」 「うん」 「凄く美味しそう。」 お腹に手が回されてぎゅっと抱きしめられた。 それで漸く、焦っていた気持ちが落ち着いた。 ああそうだ。まだおかえりって言えてなかった。 「命」 「なに?」 「おかえりなさい」 振り返ると頬にキスをされる。 服を着替えに行った命。俺はハンバーグを焼いて煮込むために調味料を入れ、ご飯の用意を進めた。

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