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第4話
「んっ、あ///」
「は、あぁ……東田……んっ」
東田がヒートし、過ちを起こして以来。俺達の関係は変わってしまった。
「んっあぁあ!!///」
「うっ、はぁ……はぁ///」
親のいない部屋で二人っきり。聞こえるのはベットの軋む音と、悲鳴にも近い喘ぎ声。
そんな日々をほぼ毎日のように繰り返していた。
東田のヒートする回数も、どんどん増えていく。
今の俺は、Ωのフェロモンに誘われているというよりも自分の意思で東田を犯していた。
「なぁ東田」
「……なに?」
「俺達の関係って……なんだろ」
親友?それとも親友以上?それとも……親友以下なんだろうか。
「さぁな……でも、俺にとってはきっとこれもいい思い出になるからさ。最後まで付き合ってくれな?」
心も関係も曖昧のまま、俺達は身体だけの快楽にどんどん溺れていく。
学園祭が終わった後。受験勉強が終わった後。面接が終わった後。合格発表があった後。卒業式の練習が終わった後。
そしてーーーー。
卒業式の後も。
「おせぇよ小太郎!」
「友達と話してたんだよ、今日くらいはいいだろ?」
「え?小太郎ってそんなに友達いたっけ?」
「オイオイバカにするなよ。友達百人以上は軽くいるつうの」
「そういう奴ほどラインの登録人数ってすくねんだよなぁ~。もしくは登録してもいつの間にかブロックされてたりとか」
「俺、学校生活やり直して来る」
「あはは!冗談だって!」
卒業式が終わり、誰もいなくなった三年三組の教室はとても静かだ。
散らかっていた荷物も『卒業おめでとう!』と書かれた黒板も綺麗に無くなっている。
そんな場所に俺達がいるのはきっと、何か思い残した事があるから。未練があるからだと思う。
「東田。どうしてここに俺を呼んだんだ」
だから今日は、その未練も後悔も全部卒業しよう。
積み重ねてきた、この想いも。
「あぁ~~うん。まぁホントはいつもどうりセックスしようって思ってたんだけどさ……」
「うん」
「このまま……小太郎と別れたくないって思ってさ……」
「……うん」
「……俺、さ……」
「うん」
「俺!今までずっと!」
「好きだったよ」
いつも何があっても笑っていた東田が、俺の告白に泣いていた。
まるで子供みたいにボロボロ涙を零して。
「ぁ……こた、ろう……」
「ずっと前から、大好きだった」
なにがあっても、どんな関係だったとしても、最後まで東田の側にいれて嬉しかった。
本当は今すぐその手を引いて一緒に逃げてしまいたいけれど、きっと優しい東田は幸せになれない。
だから。
「今までありがとう……」
今まで絡み合ってた糸が、解けて一本に戻ったように。曖昧だった俺達の関係は、ここで一つに戻った。
俺と東田は、これからも『親友だ』
「っ……お、れも。いっつもわがまま言ってごめんな。いろんなとこ連れ回してごめんな。ふざけて顔叩いてごめんな。後、小太郎に借りた二千円返せそうにねぇや、ごめんな」
「いや、それは返せよ」
「アハハ!わりぃわりぃ!」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔のまま、俺達は笑い合う。
身体を重ねた前の関係に戻って、今までずっと隠してきた想いを伝えて、俺達はやっと今ーー卒業した。
「俺も好きだったよ小太郎。今までありがとな!」
笑った顔も、泣いた顔も、怒った顔も、全部大好きだった東田をギュッと抱きしめて。
最後に優しいキスを交わした。
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