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第14話 休暇
「どうぞ。」
あかねさんの部屋へお邪魔し、ちゃぶ台に朝御飯が出てきた。
キラキラ輝く白米に味噌汁、焼き魚、だし巻き玉子、煮物におひたし…。
「すごいですね!」
柳沢さんの作る料理はいつも本格的だ。
「そんなに…普通だろ。」
そう言いながら柳沢さんはお茶を渡してくれる。
柳沢さんはお母さんが小料理屋さんの女将さんだそう。
小さい頃から料理を仕込まれたらしい。
「明、さすがね!」
あかねさんはお風呂から出てきたようで先ほどの格好とうって変わって、ジャージ姿。
化粧をしていたが、落とされており、男らしい姿だ。
「当たり前だ。」
そう言いながら柳沢さんはあかねさんにお茶を渡した。
あかねさんはそれを受け取り嬉しそうに僕の横に腰を下ろした。
「頂きます。」
そう言ってあかねさんはさっそく食べ始める。
柳沢さんも。
「早く食え、康太に食べられんぞ。」
「は、はい!」
僕も食べ始めた。
食べ終わると食器を流し台に持っていく。
「後は良い。」
柳沢さんは片付けまで自分でやってしまう。
「でも…」
「学生なんだからやることあんだろ?」
そう言われ、復習と予習があるのを思い出し、お礼を述べて部屋に戻った。
「はぁ」
部屋に戻るといつもため息をつく。
そして、ちゃぶ台に向かう。
ピンポーン
ここに住んでから休みの度になるチャイム。
僕は怖くていつも出れない。
でも…
こんこん…。
チャイムの後になるノック。
いつもこの時間が苦手だ。
出ようと思ってドアに近づくとドアノブがいつも回される。
それがあってから怖くてドアに近づかない。
「怖いな…。」
僕は耳を防いで布団の中で丸くなる。
でも今日は違った。
「椿、ここに住んでるんだろ?」
「え?」
僕は驚いてドアを開けた。
そこにいたのは…
「葛木くん!?」
浴衣姿の葛木くんが立っていた。
大量のフルーツと共に。
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