20 / 36
第18話 噂
朝から僕の噂で持ちきりだ。
伯父の話が出回ってるらしい。
尾びれ背びれがついてるけど…。
「アイツの伯父ってアイツの婚約者の子が出来たんだろ?」
「やばいよな…」
「だいたい、おじさんとやる女子高生とかウケるwww」
「まぁあの椿銀行もお仕舞いだな。」
そうだと思う。
伯父が経営権を握ってから落ちに落ちた椿銀行。
誰もが知っていた銀行が地銀に成り果てている。
ここ数年でこんなに落ちるとは誰も思ってないだろう。
少し前までは全国版のテレビCMまで流れ、旬の芸人や芸能人が出てくれていた。
僕はため息をついた。
「大体、伯父さんに婚約者を寝とられるってどんな気持ちなんだろな~」
クラスメイト数人がそう言いながら僕の方を向いた。
でも僕はそれを無視した。
構っても仕方ない。
「椿。」
話しかけてきたのは葛木くんだった。
「しばらく桜井と四月一日は休むそうだ。」
「え?四月一日まで?」
僕は驚いたいつも四月一日は僕に直接言ってくるのに今回は葛木くんに言ってたなんて…。
「四月一日が夜遅くに俺に連絡してきてな。しばらく行けそうにないからお前を頼むって言われた。安心しろ。休み時間は花房双子…かけるとしょうがくる。」
花房双子は花房翔(かける)と花房翔(しょう)の二人の事だ。
いつも桜井くんの近くにいるのに…。
「それからしばらくお前はうちに来いよ。」
「へ?」
「安心しろ、送り迎えだけうちでやるだけだ。ただ、自宅には帰れん。」
ますます混乱する頭。
「お前の家に伯父が押し掛けたらどうする?」
「あ…そんなこと考えてなかった。」
僕は頭をかくと葛木くんは頭を抱えた?
「桜井、今回ばかりはお前が正解だった。」
葛木くんははボソッと言っていたが、僕は聞こえない。
ともだちにシェアしよう!