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第20話 自由な人々

桜井side 「じゃな」 四月一日と少し話し、電話を切った。 「なぜそうなるんだかな…。四月一日は調べてくれるが…」 ガチャ 部屋のドアが勝手に開く。 「goodmorning brother!」 そこにいたのは長兄にしてこの家の次期当主・桜井翼だ。 ちなみに重度のブラコン。 「何です?」 桜井改め豊はため息をついた。 「ふふっ盗聴機で話をしっかり聞いていたよ、豊。」 翼は普通にそうさらっと答えたことに豊は殺意を覚えた。 「何さらっと自白してるんですか?ってか、また人の部屋に盗聴機仕掛けてるんですか!」 さすがの豊もキレる。 「だって可愛い弟が心配なんだもん!」 「26歳がもんって言うな!」 豊は激おこだ。 「朝から廊下に響いてるよ~」 マイペースな次男・譲が部屋にやってきた。 翼がドアを開けたままにしていたので廊下まで話が聞こえたらしい。 「も~うどうしたの~?どうせ、つーくんが盗聴機しかけてゆーくんが怒ってるんでしょ?それだけでしょ?どうせ、つーくんの悪趣味は誰が注意したって治らないんだから一々注意するだけゆーくんが疲れるだけだよ?だから、ゆーくんもつーくんなんかに構ってないで大事な人のためにしっかりお仕事しなさい。こんな馬鹿のためにゆーくんの大切な人を守るための時間が犠牲になってるなんて耐えられない。」 譲はさらっと真顔でそういうと出ていこうとする。 「譲兄さん、助けてほしいんだけど!」 「ん~?ゆーくんからのヘルプとかマジで久しぶりじゃね?」 譲は少し引き気味に豊に聞いた。 「ゆみこ姉さんに聞きたいんだけど連絡取れなくて…。」 次女ゆみこは放浪癖があり、気がついたら家におらず、気がついたら家にいるという特殊な姉だ。 行き先を誰にも告げないので誰も行き先がわからない。 前はアフリカに放浪に行き、現住民族の人に求愛されていたところを父親が見つけ、号泣していた。 ちなみに武道の達人だが、自由人過ぎて親ですら匙を投げた。 「いるよ~そこ。」 と指を指した方向は豊のクローゼットだ。 豊は嫌な予感がしてクローゼットを開けるが何もなかったが、下に付属されている引き出しを開けると先程から話しているゆみこが寝ていた。 「…姉さん、せめて布団で寝てください。」 豊は頭を抱えた。

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